なぜケンブリッジ大学か

Why MBA、Why CambridgeというのはMBAブログで最初に書くものなのだが、この時期になってしまった。。でも、最初のTermが終わって、次のTermが始まる前に思い直すのも良いだろうとPositiveに考える。

世界の事を考えて、経済協定や軍事同盟を見つつ、各国の事を考え、経済状況を考えて、ローカルの人達の事を考える。その上でビジネスによって考えた事を実行して行きたい。それらを一生考えたり実行して行く礎としてのMBAだと考えている。

上記のように、軸はビジネスに置きつつも広範な知見を得ようと考えると、やはり総合大学はいい、特にケンブリッジには後述するCollegeがある。例えば、今イギリスといえば、ブレクジット(Brexit)。ビジネスにとっては少なくとも外部要因ではあるこの政治的話題を肌で感じられる。ケンブリッジ大学の皆様は基本反対派のよう、エスタブリッシュメントですな、やはり。それを感じたのはCambridge Union。ここは伝統的なディベート・クラブで、かのジョン・メイナード・ケインズもここでディベートしている。一番印象に残ったのは、現役のMP(Member of Parliament 国会議員)が7名来て野党と与党で別れてディベートしてたこと。この時も聴衆はブレクジット反対で頷いていた。

「端的にいって、イギリスはヨーロッパではなく、イギリスはイギリスであるとしかいいようがない。」と木村尚三郎さんという方がおっしゃっていました。例えば、ヴィクトリア女王が1877年1月1日より、「インド皇帝 Empress of India」を称した。が、議会は猛反対したらしい。なんで??王より皇帝の方が強そうなのだが。。話によると「なぜ我々イギリスが大陸の慣習(多民族支配の国家元首は皇帝、Holy Roman Empireとか)に倣わないといけないのか!」ということのようだ(岡本隆司さんという方のお話)。 あぁ、それでブレクジットなんですかね。

さて、そんなイギリスで勉強している私ですが、当初は特別イギリスがよかったわけではない。・・・と経緯を書いていると長くなるので、これはまたMBA受験の進め方のところで詳しく。とっかかりは、ケンブリッジ大学の写真を見たときに建物にロマンを感じて、「ここがいいなぁ〜」と漠然と思ったところが始まり。

まず、Why MBA。経営を学びたい、アントレやりたい、ついでにSocial Impactにも興味があるし、もっとLeadershipを学びたいというものは当然ある。その為に来ている。だが、自分としては以下が根底にあると思う。

以前自己紹介に記載したが、自分は理系で子供の頃からこの道を漠然と進んでいた理由は「物質の仕組みが全て分かれば、この世の仕組みが全てわかり、魔法のような技術が自由自在に使える」と思ったから。今もその思いは変っていなく、ただ、仕組みというのが世の中のシステムまで広がった。それはITシステムだったり、金融システムだったり、一路一帯だったり、日々のライフスタイルだったり、そして原子の構造だったりする。こういう時に例としてよくMBAブログで書かれるのが政治の話。なので、私も先人の皆様に倣わせていただく。例えば、今、多くの人が自由民主主義というシステムに疑問を持っている、もしくは幻滅している。じゃぁ社会主義がいいのか?専制主義がいいのか?きっと違うのだろう。もちろんシステムとしては専制主義だっていい部分がある。それは意思決定と行動のSpeed感。だから昔は長くこのシステムが使われてきた。しかし時代に合わないから自由民主主義に変わった。きっと、また自由民主主義とは違う次のシステムができてくるのだと思う(「色々欠陥があっても、市民が国に対する責任を持っている民主主義というシステムの方が、専制主義より何倍もいい」ヤン・ウェンリー。「民主主義は最悪の政治形態と言うことが出来る。これまでに試みられてきた民主主義以外のあらゆる政治形態を除けば、だが」ウィンストン・チャーチル) 。このようにシステム達が創造された因果関係や得手不得手を理解していれば変えるべき、もしくは作り出すべきシステムもよりよく分かるはずだと思っている。システムというとどうしてもITシステムを思い出してしまうので、私の仕事になぞらえてみる。IT システムを設計するIT Architect というのが私の職種だ。どのシステムが良いかを決定するためにIT Architectが活用する方法論の中にArchitecture Decisionというのがある。これは複数のシステムを比較し、内部や外部要因を考慮した優劣を明確にしてシステムを決定するもの。きっと私が上記で言っていることは、様々なシステムのArchitecture Decisionを理解したいということだと考えている。

だた、これらシステム全てを1~2年のMBAで理解できるわけはなく、と言うか一生かかっても誰も完璧に理解することはないだろうと思う。よって、MBAは、この後100年生きる中での第2のスタート地点、上記を日々理解するために努力する基盤としたい。そして、理解しつつそれを行動に還元し、実現していく方法を学びたい。そうすると以下のケンブリッジ大学を選んだ3つの理由が必要になってくる。

  1. ダイバーシティ
  2. 他学部との交流 (multidisciplinary)
  3. 理系に強い

1つめはヨーロッパのMBAがアメリカのMBAに比べて重視している点。クラス構成として多くの国からの学生を受け入れている。以前も記載したが、私のクラスは51ヶ国からの学生が在籍している。よって、同級生からは、Careerという意味だけでは無くて、知見を得たい。直接的で無くても、彼らの繋がりからでも良いと思う。それは可能な限りMBA卒業後も繋がっていたいもの。だからSocial Eventを重視している。その1回の飲み会でそんな話をする必要はなくて、次の日素面で「昨日楽しかったね」とか言いながら話してもいいし。とりあえず飲み会ではただ一緒の場を楽しく共有するだけで良いと思う。MBAに来る前は、隣の国なのにあまり関わることのなかった中国人とも仲の良い友達がたくさんできたし、お世話になっている。こういうのはどこでも同じようで、色々ある南スーダンでも、「日中韓が同じ1つの屋根の中でオペレーションを展開していて、現場に行けば、同じ釜の飯を食っているから仲よくやろうという雰囲気が自然に出てる」らしい。 「人間と人間が仲よくなるのは、同じ目標を持って、同じ仕事をした時ですよ。」と言っている人がいました。そして、アフリカもMBA前は興味なかったし、中東も危険と歴史のロマンでしか感じていなかった(まぁイスラエルだけはある会社をIBMが買収したときに大分深く付き合ったけど)。しかし、両方とも同級生の国だという事で、少なくとも、興味は高まり始めている。アフリカや中東で、中国人と一緒に仕事をする、それがお互いの国の利益になって、大きな経済的利害関係が一致すれば国同士も仲良くなれると思う。。というのは、戦争を回避しようとしていた先人の経済人達がよく言っていた事だけれど。

女性が多いのも大事、日本人同級生は女性の方が多い

2つ目も知見を広げるため。理系でやってきたが、幸運にも歴史が好きになり、政治や経済、国際関係にも興味が持てている。College制という正にこの目的を狙ったシステムがあるのはケンブリッジ大学とオックスフォード大学しかない。Collegeは日本語に訳すと大学になってしまうし、日本でいうと寮になってしまって、どっちも正しく表わしてない。少し説明すると学生はどこかしらのCollegeに所属せねばならず、基本はこの単位で寝食を共にする。イベントやクラブもこの単位である。ケンブリッジ大学生とオックスフォード大学生は自身の所属したCollegeで話を始める。以前紹介した晩餐会、Formal HallやBarもCollege毎にある。実は「ハリーポッターのグリフィンドールとかスリザリンのこと」っていうのが一番分かりやすい、ロケ地はオックスフォードだから癪だけど。。

一番重要なのは、Collegeには色々な学部生が所属しているということだ。よって、MBA生だけでなく、経済学部やComputer Science、工学部とも知り合いになれて意見を交換できるということだ。これも私が目的とする、世界を知るという意味では非常に大切。

私所属のDowning Collegeは一番右の真ん中、グリフォン

3つ目は理系。自分としてこれは外せない、一生技術を使っていく仕事につく事は変わらないだろうし、社会的にもそういう流れだ。ノーベル賞の数はオックスフォードより多く、Business School自体がケンブリッジ大学の中で工学部の部門の下にある。そして、Cambridge Finと呼ばれるように起業が盛ん。それは大学のCultureや雰囲気に依るものだと思うし、直接的に理系人材とビジネスになる技術がここにあるからだと思う。それによりBusiness SchoolとしてもEntreprenuershipに力をいれている。

もう一つ、1年制がいいか2年制がいいかという話もよく出てくる。ケンブリッジのMBAは1年制だ。これには1年制でよかったと答えたい。私はこの歳になるまで、海外在住経験はない。よって、少なくとも今は、日本を軸に世界のために貢献していくという気持ち。ただ、海外経験が1年で十分かは疑問が残る。MBA自体は1年制で十分だと思うが、あと2年以上仕事の経験をどこか海外でしたいと思っている。しかし、もし2年制に行ったとしても、2年をうまく使うように過ごして、結果として「2年制でよかった」と思うであろう。MBAの大学選びだけでなく、何かしらの選択の時は可能な限りは頭で考えるが、あとは流れに任せる、もしくは運を天に任せる、というのが良いと思っている。「人は流れに乗ればいい」ってシャア・アズナブルも言ってたし。マキャベリもリーダーに必要なのは「徳」「運」そして「時代の流れに乗る事」と言っていた。つまり私にとっては、ケンブリッジ大学が良かったのであって、1年か2年かはその結果。だからその結果をうまく使いたいと思っている。同様の文脈で、同じCollege制のあるオックスフォード大学だとどうだろう。きっと、「自分は理系なのでそれは十分、オックスフォードでもっと政治の部分を考えたビジネスを考慮したいし、それがよかった」と言っていたと思う。

あまり具体性がないのは承知しているが、上記が私がケンブリッジ大学をMBAとして選んだ理由、上記のように私が求めるものを満足させてくれている。あとは自分次第。・・・と言いつつ、上記で記載したことが今全部できているかというとそんなことはない。。まだまだ、うまく出来ていないことが多い。ただ、この1年では無理でも、卒業後も上記ができるようにNetworkは作っておきたいと思っている。

初海外経験 Communication 指南書 – Project 編

CultureによるCommunicationの違いにはHigh ContextとLow Contextというものがあるらしい。High Contextは言葉少なに空気を読む、日本が筆頭。Low Contextとは直接的に相手に伝える、アメリカが筆頭。そんなLow Contextなメンバーから”Waka, you are genius!!”と言われているのだが、、これは本気にしていいのかどうか。。多分しちゃいけないんだろうな。。

さて、以前記載したように、JudgeのClassは3つに分かれて、さらにその中で5人のStudy Groupというチームに分かれる。このメンバーで授業中の様々なWorkshopをこなすのだが、HighlightはCambridge Venture Project(CVP)と呼ばれるプロジェクトだ。約2カ月授業の合間をぬってこのプロジェクトも進めていく。よって、このプロジェクトメンバーは非常に重要なのだが、私のメンバーは、下の写真の手前の非常にコミュニケーション能力が高いアイルランド人(レベッカ)、私の上が台湾人だけどカルフォルニアに10年住んでいる台湾人(ケン)、その横がイギリスの銀行に務めていたアメリカ人(アリスン)、そして最後にエンジニアのカナダ人(カイル)。つまり、、、私以外全員Native English SpeakerでLow Contextな訳ですね!!いや〜、最初はビビりました。。。もちろん得意のSocial Skillを生かして、明るく話しかけはするのですが、4人で話されると何を言ってるかさっぱり分からないので、結局あまり会話の輪に入れず、Communicationが取れない。

しかし、結局、方法は日本と一緒。つまり、チームメンバーと仲良くなるためには、チームに対する貢献が必要。チームへの貢献は仕事について自分の頭で考えて、作成物に落とすこと。ちょうど、最初に私がこれをやった後に撮った写真が上記の写真。この後はいい感じにチームの輪の中に入れるようになった。他のメンバーも私が考えがないわけではなくて、英語が難しい部分があるだけということを分かったようで、Meeting中もそういう部分をCareして進めてくれるようになった。そして、ちゃんと私のバックグラウンドや意見に興味を持って、真剣に聞いてくれる。おかげで、まだまだ英語は分からないけど、疎外感を感じずにプロジェクトを進められた。

上の写真はプロジェクト中に、アメリカ人の家でプロジェクトのMeetingをしてた時のもの。我々のCVPの内容はここではあまり重要じゃないと思うが、一部記載すると、AIを使ったMarketing会社が、Design Sprintという手法のためのCreative Spaceを新たな商材としようとしていて、それのMarket調査と戦略策定、というもの。(いやいやAI会社ならAIのプロジェクトにしてよ、ってみんな思ったのは内緒)この内容よりも、CambridgeがCVPのために、プロジェクトとその会社を毎年チーム数用意(つまり40個くらい)するというのが凄いなと思う。。

そんなこんなで、私のチームは非常に良い関係を初めの頃から築けたと思うが、MBAの他のブログを見てもよくあるCulture Gapは他のチームではあったよう。つまり、「Meetingの時間を決めたのにドタキャンする」「急にチームから抜けると言う」「常に特定の二人が喧嘩している」等々。これらはある意味MBAでDiversity Managementを学ぶためには一定量あることだと思うし、それを乗り越えた上での学びだとも思うが、、当人達は本当に大変そうで、経験したいようなしたくないような。。。

今回のCVPで一番感じたのは、「Diversityと言ってもMBAに来る人達とは会話が通じる」という事。みんな、それなりにGlobalな経験があって、教養も高いので、極端に変な事を言ったりする人もいないし、Conflictがあっても言い分はよく分かる場合が多い。それにこれだけ各国の人がいると、当然「この人は何人だから、こう」とかは思わず、個人として見る。だから、一般的なCultureを彼女ら彼らから学ぶのは良いが、イコール彼女ら彼らではないということは肝に命じなければならない。特にそう感じたのは、授業で自分の国のCultureの紹介を北米のメンバーがしていた時。北米といえばTop Down Cultureだろうと思っていたのだが、、MBA生の北米メンバーにアンケートを取った彼らの結果は半々。

Consensus 大事な人達もいるとのこと。もちろんMBA生だから、というのもあるかもしれないが、それでも少しびっくりした。当然、小さい規模のグループではそんなに違いを感じないが、国家や大企業のサイズではもっと考慮しないといけないのかもしれない。もしくは、横のDiversityは弱くなっているのかもしれない。むしろ、縦のDiversity、同じ文化の中での考えの違い、GlobalismとNationalismとか、を知る必要があるのかも。

あとはConflict。これは文化の違いは関係ないかもしれないが、私はこれまでチーム内でのConflictを起こすのが嫌いなタイプであった。よって、基本的には調和の姿勢をとって仕事を進めてきたのだが、今回のチームワークの中ではMeeting中に多くのConflictがあったように思う。ニュアンスが難しくて具体的に言えないのだが、それに代えて、、昔何かの本でペリー来航後の遣米使節団のアメリカの国会見学の話を読んだ。それによるとアメリカの議員達は国会では喧嘩のように言い合うのに、その後仲良く食事をとったりしていたそうで、日本人はそれに心底びっくりしたよう。同じような感じを私も受けた。我々もConflictによってチームが不仲になったり、その後の生産性に影響したりはしなかった。これはおそらくお互いに信頼関係があるからだと思うが、そもそも英語がHigh Context用の言葉で、それが母国語の人達はそれに慣れているのかもしれない。それでも、Conflictのおかげでいい議論ができた部分もあると思うので、これからはうまくConflictを活用して、色々進めていけたらなと思う。

そんな、中々大変な最初の学期、Michaelmas Termが終わった後のご褒美は、King’s Collegeで忘年会!!最高でした!!!