3歳児と6歳児の海外生活ミュンヘン、ノイシュバンシュタイン城、ローマ、バチカン

子供が大きくなり本シリーズは、もはや赤ちゃん連れの海外旅行体験記ではなくなったが、未就学児でも大変な部分はあり。。。なので、引き続き記載していきたいと思う。

赴任のいいところは海外に家があること。つまりそこを拠点に色々な場所に旅行できるということだ!!北欧とか東欧とかロマンティック街道とか!が、そこは未就学児二人を連れた旅、そんな何回も遠出できるわけもなく、ノイシュバンシュタインとローマ+バチカンに絞った。今回の旅行のコンセプトは「無理せず余裕を持ってだ」。

その前に、、6歳児には物心ついて初の、3歳児には文字通り初の長時間フライトという壁が待っていた。昔私が親と海外旅行した際には海外の航空会社も利用したが、基本今はJALかANAしか使っていない。やはり日本語が通じる方が子連れには助かる。実際の搭乗に関しては「怖い」とかはなく普通に楽しそうに乗ってくれた。iPadにNetflixやPrimeVideoをダウンロードしていった。が、3歳児がいつも家で見ているYoutubeを見たいと言い出した。Youtubeは契約してないのでダウンロードできてない。これに手を焼いて全く休めず(妻が)。事前に飛行機内の過ごし方計画を3歳児に示しておけばよかったと反省。

が、それ以外は問題なくミュンヘンに到着し、東京より涼しいということで二人ともミュンヘンを気に入ってくれて、無事職場見学も完了。

二人の顔が硬いのはいつものことなので問題なし

さて1つ目のノイシュバンシュタイン城見学だが、個人で鉄道で行くことも考えた。鉄道の時間が子供に長すぎるのでは?ということでHISのオプショナルバスツアーを予約した。HIS使ってないから「オプショナル」ではないのだが、予約できた。結果としては鉄道のほうが良かったかも?やはりツアーなので時間制限が強かった。ノイシュバンシュタイン城周辺ではツアー内でも長い時間が取られていたが、入った店のランチが出てくるのに40分待たされて、そのせいでツアーのノイシュバンシュタイン城見学時間に間に合わなかった。15分後の見学ツアーに同行できたが、その前にもノイシュバンシュタイン城近くまで行くバス停からノイシュバンシュタイン城までの歩きは下りの坂道でベビーカーにはキツイ、というか危険。そしてノイシュバンシュタイン城からツアーバスも下り坂の山道・・・なかなかハードであった。もちろんツアーでなくて個人で行ってもその坂道を使うのだが、個人であればもう少しゆっくり進めたなと。。ちなみに3歳児はノイシュバンシュタイン城内では爆睡(あるある)。ベビーカーは入れないので私がずっと抱っこしてました。。まぁいいけど。

雨ののイシュバンシュタイン城、これはこれで良かった、移動以外は。。

さて、その後1日休みを入れてローマへ。ローマへはアリタリア航空とBooking.comでホテル(というかアパートメントの一角)Vinylogy Aptを3泊4日で予約。90分のフライトなのでアリタリア航空でもほぼ問題なし。

飛行機に関しては2点、ベビーカーがOver luggage扱いなのでローマ到着後出てくるのが遅くてちゃんと出てくるのか心配になったことと、帰りの飛行機が遅れてキャンセルにならないか心配になったことくらい。ただベビーカーは荷物チェックも通れるし、ベビーカーを持っているとPriority扱いになるので(正しくは年齢だが)ので、Gate前まで持っていくのが正解だと思う。

宿泊場所VinylogyAptは場所が凄すぎてビビった。コロッセオまで歩いて2分くらいであった。設備的にはシャワールームが1人しか入れないので狭すぎて困ったが、それくらい。キッチンもあるので、朝食は節約可能。

徒歩5分と記載があるが、もっと短い感覚

「無理をしない」コンセプトのもと時間が読めないのでレストランの予約はしなかった。1日目は夕食とスーパー買い出しのみ。毎日5時半くらいには夕食を開始していてローマ料理を堪能できた。ちょっと堪能しすぎたので、他のイタリア料理も食べたかったが、今回は無理と贅沢ができないので仕方ない。2日目はコロッセオとフォロ・ロマーノ。未就学児なのでこれらが何なのかは理解できていない。が、フォロ・ロマーノの高いところまで登ったりして二人ともそれなりに楽しくしてくれた様子。その後ホテルに帰って休んで、また5時半くらいに近くで夕飯。無理せず。。

フォロ・ロマーノのテラスの頂上

3日目はバチカンへ。6歳児が一番小さい国をバチカンと知っていて行きたいと言っていたので、今回のハイライト。バチカン内は3歳児はまた爆睡。。でもシスティーナ礼拝堂で起きたのでハイライトのハイライトは見せることができた。

バチカン広場

4日目はスペイン広場にて簡単にショッピングと昼飯で帰国。

総じてベビーカーがきつい。特にローマの石畳。うちの安い日本のベビーカーは車輪も小さいのベビーカーの足がよく曲がり、折れるかと思った。。また、何故か地下鉄が部分的に動いておらずバスの活用を考えた。だが、行楽シーズンで人がごった返していてベビーカーでバス乗りはキツかった。全てUber活用した。バスは厳しいので始めからUberにしておけばよかったと思う。

夏なのでわざわざ涼しいミュンヘンから熱いローマ。そして、きっと子供的にはサンリオピューロランドや海外ならオーストラリアやアメリカなどの方が楽しいアトラクションがいっぱいあるだろう。などなど、マイナス面は色々あった。赴任していなければわざわざ未就学児を連れてくるところではないと思う。

が、この歳でヨーロッパに旅行できたことはきっと彼女たちの糧になっているだろう。今後思い出して良い刺激になり続けると思っている。

イノベーションをおこすには?のバイブルの1つ

さて、「イノベーションのジレンマ」という本がある、スタンフォード大学の故クレイトン・クリステンセンの有名な著書である。多くの日本人が読んでいることであろうと思う。それに対する1つの答えとして「両利きの経営」という本がある。詳細は後述するが、事業の「深化」と「探索」を同時にするという事である。今の日立のコーポレートベンチャリングはこの「両利きの経営」を実践、少なくともChallengeしていると言って良いと思っている。

大企業がイノベーションをおこす、もしくはおこし続ける事ができるか?私の仕事はこれだと思っている。ちなみに「おこす」というのが正しい表現かはまた別の問題としてあるが、今回はここには触れない。

まずは、両利きの経営の基本を4つ紹介したい。

両利きの経営の基本、図はこちらから拝借している

最初はサクセストラップ、要は成功に驕るという事だ。例えば、顧客のために品質高くコスト効率の高いソリューションを提供しようと努力する、これは「深化」だが、これは企業として当然で、その結果売り上げと利益向上という成功がついてくる。そして、プロセス化、規範、文化という形で醸成されてさらに高効率となっていく。しかし、その結果その文脈に載らない事業や一見関係ない外部的な脅威に目を向けられなくなり、結果としてイノベーションが起こらず、衰退、もしくは破壊されるというものだ。

次にダイナミック・ケイパビリティ。組織のリソースを環境の変化に応じて適切に配分するということだ。これだけ書くと経営戦略の基本と何ら変わりがないが、個々のリソースの組み合わせも変えて、新たな市場に向けて適切にダイナミック(動的)に配分する能力、ということが強調されている。

3つ目はイノベーションストリーム。これは本書に記載の内容をそのまま記載したい。縦軸に「既存事業か新規事業か」、横軸に「これまでの組織能力か、新しい組織能力が必要か」の4領域で次の事業を考えるということだ。この各4領域で起こる新たな事業のマネージメントに失敗したことが企業の衰退につながっているということだ。また、特に技術は持っているのに新市場にいけなかった事例が多いという。

こちらを参照

最後は多様化(Variation)選択(Selection)維持(Retention)、VSRプロセスと呼ばれるものだ。この時、それぞれのフェーズで求められる能力やKPIが異なることが大事だ。多様化(そのために必要な探索)をしようとしている時に、維持フェーズ(主に深化)でのKPI、例えば売り上げ、利益、効率性など、を設定してはいけないということだ。特に大企業の場合はそれぞれのプロセスが併存するので、上級マネージャーはその違いをしっかり認識してそれぞれのフェーズを担当させた部署をマネージメントしなければならない。また、総じて維持を担当する部署の方が力が強いので、多様化を担当する部署を適切に守らなければならない。

「この維持を担当する(深化を担当する)部署の方が強い」というのがジレンマの本質だと思っている。当然であろう、これまでの失敗を経験に変えて今のCashを生み出している部署なのだから、成功するかも分からない新規事業部署より強い。しかし、これがDisruptiveされる理由である。よって経営層はここの調整力が求められる。

さて、これらを実現する上で、今私個人として一番大事だと思っているのが、探索チームと深化チームをどうコラボレーションさせるかということだ。本書で主張されている原則5つのうちの2番目に「どこに探索と進化の緊張関係を持たせるかを明確に選定する」というものがある。その方法の1つは、CEOや事業ユニットリーダーがその役割を担い、探索チームと深化チームを明確に分けて、適切に探索チームを守るというものだ。もう1つは上級マネージャーが一緒になって探索も担うというものだ。なんとなく後者の方が良さそうに聞こえる。また、実際に社内のリソースを探索にも上手く使えたのは後者の方のようだ。ただ、想像の通り、後者は時間もかかり、上級マネージャーの報酬体系の変更や、自身のリーダーシップ方針を変えたり、深化と探索の両立の方法を一緒に学んでいくというものだ。これは、これらの実行よりも、こういうことをこれから一緒にやっていこう、と上級マネージャー間でConsensusを取ることが、まず難しそうだ。

しかし、探索をする上でも社内の既存リソースを適切に使わなければ探索リソースが足りないし、そもそも自社の強みを活かせない。もし、これが実現されて探索と深化の間で柔軟にリソースが配分、もしくは組み替えがなされれば外部の新たな脅威に対しても柔軟に対応できると思う。

ここまでは本書に記載の内容がほとんどだ。それではなぜ、既存企業ではそれができなくて、どうすれば良いのだろう。私は2つの企業しか経験していないが、その上で話してみたい。

まずは探索チームだけが探索のミッションを持つことは無理があるということだ。探索チームは概して、社内のリソースを使える立場にない。よって、社内のリソースを持っている事業部のリーダーが探索チームの必要性を理解して、そちらにもリソースを配分することを良しとしなければならない。

もう1つは上級マネージャーの報酬体系を変える必要がある。短期的な売り上げ利益だけがKPIであると、探索側にリソースを配分するモチベーションが湧かない。

ちなみに、事業部側がリスクを取りたがらないのは色んな意味で当然だと思う。例えば顧客とプロジェクトを実施して新しいことを試したとして失敗した場合に、その尻拭いをするのは顧客フロントに立っているチームだ。失敗する可能性があるならやらないのが基本的な考えだと思う。なので、事業部側が探索をする場合は、探索プロジェクトと明確にして、他社を巻き込むなら他社へもそういう説明をしっかりしておく必要がある。

いずれにせよ、イノベーションのジレンマを克服するために、両利きの経営を実践することは容易ではない。しかし、イノベーションはスタートアップだけでおこせるものではない。大企業がイノベーションをおこすために上記の課題を解決しなければならない。チャレンジしがいのあるテーマだと思う。

ヨーロッパ最大スタートアップ祭典VIVA Technologyレポート

先日ドイツ人の同僚と日本のスタートアップエコシステムについて話していて、IPO等の話の流れで「日本のM&Aの数って年間どのくらい?」と聞かれて答えられなかった。。スタートアップのM&Aの数は知っていたが、そこまで見てなかった。やはり全体感を知り、議論するためには必要なので数字は調べて覚えておきたい。

ちなみにIPO数はINITIALがしっかりレポートしている。M&A数はMARRがレポートしている、4000件ととりあえず見れば良いだろうか。また、日本のStartupはIPOが多すぎることが、その後の成長≒社会実装が失敗することの原因と言われているが、StartupDBの調べでは2020年でさえIPOよりM&Aの数が多い。一方経済産業省のレポートでは、2020年ではM&A 20%と数字に乖離がある。いずれにせよアメリカは90%近いので、M&A数を増やす方向には一考の価値があるかもしれない。

スタートアップとスタートアップ以外の定義の違いが載ってない。。以前記載した通りなら良いが。

さて、VIVA Technologyである。いきなり宣伝で申し訳ないが、日経電子版に「日本の大企業・スタートアップ連携、欧州の展示会で披露」と題して私の記事も載せていただいた。

記事に使っていただいた写真、投資先BeZeroとTrustwise AIのメンバーと

やはりパリということもあり、全体的に華やかな見た目。VIVA Technologyのコンセプトは大企業✖️スタートアップであるため大企業が大きなブースを出してその中でスタートアップとのイノベーションを紹介していく。ルイヴィトンなどを擁するLVMHやLorealはB2Cビジネスなので見た目も豪華だが、それらだけでなく、Total EnergiesやENGIEなどの社会インフラ系のブースも洗練されている。日本人の参加者の方からは「日本で開催されてたSushi Tech Tokyoとは、規模も見せ方も違う」という話も聞かれた。Sushi techはこれからであろう。一方で、大企業 x スタートアップの弊害か、ブースは大企業毎になっていて、カテゴリー(例えばAIとか Climate Techとか)毎にはなっておらず一貫性には欠ける。また、「フランス」の祭典でグローバル感も薄い。

LVMHのプレゼンテーションブース

ブースにいなければならなかったのでセッションはほとんど参加できなかったが、Country of the Yearに選ばれた日本が先陣を切っていて、経産省の岩田副大臣、東京都の宮坂副知事の登壇、岸田首相のビデオメッセージがあった。残念ながら今回はマクロン大統領は参加せず、イーロンマスクはオンラインのみであった。日本からは三木谷社長やScrum Venturesの高橋さんなどが登壇されていた。

弊社からはHitachi Venturesの同僚のGalinaがDiversityのパネルディスカッションで登壇してくれた。「私Diversityは専門じゃないんだけど、、」とか言いながらしっかり勉強して発言していた。「日立は2030年度までに「役員層に占める女性および外国人の割合」をそれぞれ30%に引き上げることを目標としている」から始まり「Hitachi Venturesは女性比43%、9Nationalities、5人の内1名が女性パートナー」と多様性をアピールしてくれた。私個人としても、この多様性のある職場で働けることが楽しく、誇りである。

Hitachi Ventures同僚Galinaのパネルディスカッション

Japan Pavilionでは日本の大企業6社と日本のスタートアップ45社が展した。弊社側のコンセプトはイノベーションとグローバルであったので、アメリカ、ドイツ、イギリスのスタートアップと一緒に出典した。他社は日本のスタートアップと出典している企業も多かったので日立がグローバルでイノベーションというのはアピールできたと思う。(ちなみに私もJapan Pavilionで登壇してそれを喋ったのだが、写真がなかった。。)一方で反省としては、スタートアップの紹介はできたが、日立とのコラボレーションという見せ方が弱かったと思う。マンパワーも足りなかったので、参加に対してはもう少し事業部を巻き込んで実施すべきだったと思う。またDigital色の強いスタートアップのみであったため、PC画面での説明になりインパクトも弱かった。TOPPANさんなどは物理的な物を持ってきていたので、見せ方が上手いと思った。

投資先スタートアップMakersiteのJulianとプレゼンに聞き入る参加者

さて、今回のVIVA Technologyへの出展に対しての効果はどうだったろうか?このようなイベントに参加する場合の目的は基本的に4つ考えられると思う。

  1. 世の中に対するVisibilityの向上、宣伝
  2. 新たな営業案件の獲得
  3. 新たなパートナーの獲得
  4. イベントテーマ(今回はイノベーション、もしくはスタートアップ)に対する開催地域動向学び

1.は今回の1イベントという意味ではある程度できたと思う。しかし、これは継続が必要なので、全体の宣伝戦略の流れの中で考えないといけない。2.3.は十分ではなかった。現地で営業やパートナリングをするマンパワーが足りなかったし、マンパワーを得るための我々側の企画が不十分だったように思う。4.はこの4日間だけでは不十分であった。しかし、それをするためのネットワークはできたので今後様々なワークが可能であろう。今回は日本がCountry of the yearに選ばれてJETROさんの素晴らしい企画にのらせていただいた形だ。よって、コストの観点では1社で独自出展するよりも抑えられている。そう考えるとこのくらいの成果でも十分ではないかと思う。一方で、1社として独自出展する事を考えると、欧州、フランスでのCVC戦略をグローバル内でどうするかを考えないといけない。イベント1つとっても北米、欧州、日本で様々あり全てカバーするためにはローカルのマンパワーが必要だ。そのローカルパワーを活用して全体として何をするか。これを考えた後で初めてリソースを割けると思う。今回は弊社として海外スタートアップイベント初出展の中で、今後のワークのためのネットワークと経験ができたのでよしとできると思う。

日本のスタートアップ政策確認、パリ出張前夜

フランス、と聞いて皆さんは何を思い浮かべるだろうか?食、ワイン、ファッション、フランス革命。。が定番であろう。しかし、最近はフレンチテックという言葉も市民権を得始めており、それを示すヨーロッパ最大のスタートアップイベントが、スペインの4years from now、フィンランドのSlushと並ぶ、エマニュエル・マクロン大統領も支援するVIVA Technologyだ。ヨーロッパ押しの私としては、いつか仕事として参加したいと思っていたが、今年は日本がCountry of the Yearに選ばれたこともあり、JETROの主催で日本企業6社の1社として投資先Startup、Makersite(ドイツ)、BeZero(イギリス)、TrustwiseAI(アメリカ)と共に、すごいいい場所にブース設置して参加する。パリへは上の娘の1歳の誕生日以来約5年ぶりだ。

過去の画像、子供もいるので最終日の一般公開日と思われる、だがこういう感じだと推測

さて、今回はJETRO様主催での参加となるため、日本政府とフランス政府とのネットワーキングのイベント食事会もある。それに向けて今一度、日本のスタートアップ政策を復習しておくのも重要であるため、自分の勉強の一貫で記載する。

最新の公式資料はここに載っているので、これ以降の記載内容との齟齬がある場合は、この公式資料が正しい。

さて、まずStartupの定義だが同資料によると、①新しい事業で合って、②新しい技術やビジネスモデル(イノベーション)を有し、③急成長を目指す企業となっている。ちなみに他で見た定義では②において、「新しいビジネスモデルに挑戦する」のみ書いてある場合もある。この場合技術だけ新しくてはNGだということだ。ちなみにイノベーションの定義だが、①Something new、②世の中に利するもの、③実行可能、であったと思う。つまりイノベーション自体に成長性(もしくは世の中の「比較的多数」の人に役立っている)という概念は不要だ。ちなみに日本ではベンチャー企業という日本語がよく使われるが、Startup とベンチャー企業の違いはビジネスモデルと成長性。既存のビジネスモデルを使う会社がベンチャー企業だ。また成長性もStartupはよくJ-Curveであらわされるがベンチャー企業はその限りではない。

経済産業省の「スタートアップ育成に向けた政府の取組」から抜粋

②のスタートアップの意義も大事であろう。「新たな社会課題を解決する主体としても」が非常に重要だと思う。というか、むしろ最近のスタートアップはこれがないと意味がないのではないかと個人的に思うので「も」は、自分の中では削除だ。今回のVIVA Technology参加もその社会課題解決が重要なテーマだ、会社としても個人としてもVIVA Technologyとしても。

J Curve、一度マイナス成長となってその後急激にプラス成長する

ちなみに同資料に面白いレポートが載っていた。GAFAMを除けば、アメリカと日本の成長は同程度というものだ。これをどう見るか。。。

GAFAMを除くと日米の成長に大きな差はないらしい。。

さて、日本政府の「スタートアップ育成5か年計画」の基本だが、2022年から2027年までの5年間でスタートアップへの投資額を8000億円規模から10兆円規模に拡大し、ユニコーン(時価総額10億ドル以上の未上場企業)を100社、スタートアップを10万社創出することを目指している(ITmediaより)。この中に3つの柱があり「人材・ネットワークの構築」、「資金供給の強化 と 出口戦略の多様化」、「オープンイノベーションの推進」だ。

1つ目の「人材・ネットワークの構築」には「シリコンバレーにJapan Innovation Campus設立」があり、シリコンバレーネットワークに日本の起業家を参加させることが目的だ。ちなみに今回のVIVA Technology参加もこの「人材・ネットワークの構築」の1つに位置付けられている。2つ目の「資金供給の強化 と 出口戦略の多様化」にはStartup支援金などがある。また他に企業や個人への税制優遇がある。例えば、スタートアップに出資する場合、取得価額の25%を課税所得から控除する制度があり、これは中々良いと思う。3つ目の「オープンイノベーションの推進」であり、「Startupのエグジットを考えた場合、M&A と IPO の比率に着目すると、米国ではM&Aが9割を占めるのに対し、我が国ではIPOが8割であり、圧倒的にIPO の比率が高い 」(参照)ことは、「野生化するイノベーション」でも指摘されていて、せっかくのイノベーションが、早すぎるIPOにより成熟できず、競合につぶされて消えていくと言われている。この問題解決には大企業の支援が欠かせない。大企業によるオープンイノベーション推進が必要。

中々成長しているように見える

ところで、日本政府はこれにどの程度の予算を充てているのだろうか?「スタートアップ創出に関する支援施策関連予算は、2022年度補正予算で約1兆円、23年度補正予算で約2300億円(関連事業総額約1兆円の内数)が計上され、24年度当初で約500億円(関連事業総額約1000億円の内数)が見込まれている」(ITmediaより)とのことだ。さて、フランス政府は?JETROの資料によると「総額540億ユーロにのぼる国家予算のうち50%を脱炭素化関連、残りの50%を環境に負荷をかけないイノベーションやスタートアップ企業に投資する野心的な計画」とある。540億ユーロは1€150円とすると、約8兆円である。これを投資だけに使うので、他の人材育成や拠点設置などは別予算なのだろう。ただ、ちょっと分からないのが、この予算の期間だ。もし今後10年間でこの投資額であったら、日本の22年度の1兆円も負けていない。とはいえ、540億€とぶち上げて、その後追加なし、ということはないので、やはり日本の予算とは規模が違うのか。

以前も記載したが、日本のユニコーン企業の数はまだ少ない。予算を増やせば、ユニコーン企業の数が増えるわけではなく、皆様おっしゃるように文化や教育が重要であろう。日本政府とフランス政府の皆様とは、そのような違いも気にしながら会話してきたいと思う。

ミュンヘン生活:日本ではそれほど流行らない必須アプリと公共交通機関

今日もビアガーデンで執筆中だが、同僚が「ビアガーデンは常識の範囲で持ち込みOKだよ」と教えてくれて「常識ってどこら辺?」と聞いたけど明確な答えはないらしい。でもサンドイッチとかということで、肉屋でサンドイッチを買って@ビアガーデン。肉屋のサンドイッチは自分で肉の厚さも選べて肉肉しくておいしい、3.5€であった。安い!!こうやって生活すれば大分生活費を抑えられる。。ミュンヘンの肉屋と言えばVinzenzmurr。これからもお世話になりそうだ。(ミュンヘン以外でどうかは知りません。。)

肉の種類が半端ない、、TakeoutもOK。パンにはさんでくれる

さて、ドイツに住む日本人の皆様が最初に困るのが、、洗濯!!それもあって、色々な方がブログを書かれている。イギリスもそうであったが、洗濯機が一家に一台というものは、特に一人暮らしではまずない。マンション共用の洗濯機が数台あるだけだ。そう、数台なのだ!10個も20個もない!実際イギリスでは洗濯機が空いてなくて、なんども行き来したり、終わる時間を間違えて、一回家に帰るなど日常茶飯事。どうして?と思うのだが、どうやらドイツとイギリスの人(ヨーロッパの人?というか日本以外?分かりません)は日本人みたいに4人家族でも毎日洗濯しないようだ。あるYoutubeでは電気代と水道代が高いからと言っておりました。

個人的には、基本的に涼しい気候なので汗をかくことが少なくて、洗濯の頻度が低くても大丈夫、なのかな、、と思ったり。まぁ汗かかなくても皮脂油とかで汚れていますが。。

それで、私も洗濯を当然しないといけないのだが、まだホテル暮らしで、3種の神器(洗剤、柔軟剤、Anti-カルキ)を購入すると家が決まった際に引っ越す荷物が増える。どうしよう、、と思って、下着を2日間連続で着ていたりしたのだが、なんと!洗濯、全部込みでアプリでできるじゃないですか!!

Startupっぽいロゴ。。

そのアプリがWeWash。予約もできるし、終わったら教えてくれるし、洗濯機も3種の神器が入っているので、購入不要。最高だ!が、なんと、洗濯が1回4.60€、乾燥機が1回4.10€、高すぎる。。ちなみにWeWashでない洗濯機は50セント/回が相場。乾燥代がもったいないので干したのだが、同じ地下室に干す場所がある。が、おいおいここで干すのかよという場所。乾くのか?と思って1日干してみたが、湿っている。。次は乾燥機を使おうと思った次第だ。

ググった画像だが、本当にこんな感じ。。洗濯の市民権低すぎないですか?

とはいえ、このWeWashへの私の評価は高い。ソフトウェアだけではなくて、洗濯機にはハードウェアもつけなければならないのでそのコストはかかるが、よいビジネスなのではないか?が、お気づきと思うが、日本ではまず流行らないアプリであろう。当然日本のコインランドリーもアプリ化されていると思うが、マンションに共用ランドリーがあるものは少ない。Market規模は小さそうだ。現場の文化によって必要なアプリが違うという良い例だなと思った。

業者はこんなハードウェアを洗濯機の近くに置いて洗濯機と繋げる必要がある。

もう一つ生活に欠かせないのが公共交通機関だ。初めての都市にいくと毎回最初に困るのが公共交通機関の乗り方だ。切符の買い方など、毎回混乱する、都市によって違うので結構難しいと思う。しかし、海外の乗り方を学ぶと、日本の電車のなんと複雑な事か。。

イギリスに住んでいた時は、Cambridgeであったので電車は遠出の時しか使わず、普段はバスか自転車であった。ミュンヘンは都市なので地下鉄が発達している。地下鉄、トラム、バス、が市民の足だ。だが、なんと、この3つはよろしく統合されていて、ゾーン制なので、ミュンヘン中心からゾーンでわけられており(↓参照)同じゾーンは1つの切符で行き来できる。非常に分かりやすい。これと比べると日本の電車難しすぎる。。外国の方は大変だと思う。

また、ミュンヘンには改札がない。つまりぶっちゃけタダでも乗れる。でもそこは尊厳の話だ。もちろん、最初のころは定期的に切符チェックもあったのであろうが今は見ない。経済的にも改札にかけるコストとタダ乗りされる損失を考えても、もしかしたら経済的なのかもしれない。尊厳とコストでよいバランスを取っているのであろう。

さて、来週から出張でぱり。赴任後の最初の大事なイベントだ。また次回。

この色が変わっている部分がゾーン、のはず。。
改札、これはウィーンだけど、本当にミュンヘンもこんな感じ

ミュンヘンの緑と風を感じながら、ここで何をするかを考える

みなさんこんにちわ。ミュンヘンに住んで1週間が経ちました。外食は高いです。例えば昼食を外のビアガーデンで取ると、スープ7€、ビール500ml5€、占めて12€。€が168円(2024年5月11日)なので純粋に2016円。そして、今銀行口座がないので、日本のクレジットカードを使うと手数料が為替に上乗せされて185円くらい、つまり2250円です。お椀一つのスープとビールだけですよ!!

一方で自炊は安い!スーパーマーケットでは例えば牛肉赤身(どこの部位か分かりません・・・)の一番安いものは100gで0.75€。一人前くらいだと150グラム、これドイツ語で言うのがまだ難しく、「200グラムください」とドイツ語でいっても、1.5€。これを日本では高いホワイトアスパラ、20本くらい入って5€を3本くらいと、ニンニク、オリーブオイル、塩、胡椒で焼くだけで十分おいしい!!しめて4€くらい?800円以下。なんでイギリスとドイツの外で食べる牛肉のステーキは25€とかするのにまずいんだろうか。。

でもこんなに天気よくて、緑もいっぱいあるミュンヘンで、一人で家にこもっていてもよいアイディアは浮かばないので、外食昼でさえも高いのを覚悟して外へ。でも気持ちいいですな。

ミュンヘン市内のビアガーデンの一つ

また本日のお題と関係ないことに3段落も使ってしまった。今回のお題はミュンヘンで何をするのか?である。前回記載したように今回は辞令をいただき、仕事で海外生活をしている。よって、そのミッションを達成することがまず必要である。一方で、大事な海外経験、それ以上に私の人生にとって意味あるものにしたい。よって、その両者を記載しておこうと思う。

まずは仕事面。あまり詳細は記載できないが、大きく二つある。1つはヨーロッパを中心とした事業部でもっとHitachi Ventures Gmbh(HVG)のCapabilityを活用して次の成長に活かしてもらうこと。もう1つはHVGのVenture Capitalとしての仕事に入り込み、そのプロセスをもっと日立製作所全体に活かすことだ。

1つ目だが、弊社にはHitachi Energy(元スイスのABBの一部)とHitachi Rail(イギリス始め海外の日立製電車はここが担っている)という日立全体の売り上げの大きな部分を担っている事業部がある。弊社の直近(2024年4月26日)に発表した23年度の実績のグリーンエナジー&モビリティがそれで、海外の中でも1兆円売り上げと異彩を放っている。ここへのHVG活用による更なる成長貢献が一つ目だ。少し具体的に言うと、HVGの持つ毎年1000社/人*ほどのStartupとの会話から見た最新の市場動向を次の戦略領域の議論に活かしてもらうことと、AdvancedなStartupとの協業による技術、ビジネスモデル、知見の獲得だ。
*(1日3社~5社会話しているので、最大で月100社、祝日長期休暇とか考えると1000社くらい、、と思ったけど5社会話できない時もあるし、出張とかで会話できない週もあるので、800社くらいか?500社は優に超えていると思う。)

日立製作所「2024年3月期連結決算の概要」より

もう一つはHVGの持つVCとしてのCapabilityをもっと社内のプロセスに活かすことだ。具体的なそのCapbilityは、例えば、Emergingな領域を探索したり、事業性を分析する能力だ。

この二つは似ていて、理想的な形になれば最後は1つの取り組みになるであろう。ただ、過渡期として、1つ目はHVGが出力する結果を活用する事で、2つ目は結果が出る前のプロセスを活用する事だ、と言えるかもしれない。

さて、次に仕事を超えてこの1年で何を考えていきたいか、ということである。これは大上段から行くと、自分が世のため人のためにどのように役立てるかを考えるということだ。当たり前だし、今までもそう思ってきたつもりであったが、実は日々の生活での自分の思考を思い出してみると、そうなっていなかった。40歳を超えて、本気でそれを考えなければと思っている次第である。また、自分の立ち位置は「日本人として日本のCapabilityを活かして、世界に貢献」である。20代以下で海外経験をしていれば、他の国での仕事が人生の大半になることもあったであろうが、30代過ぎで海外生活初経験の自分としては日本での仕事を主とし、それをLevarageして世界に貢献する方が良いと思っている。

一方で、↑の事が具体的に何かをすごい遠くから考えるのも難しいだろう。例えば、40兆円の宇宙ビジネスを立ち上げ、などはあり得るかもしれないが、少し遠い。具体的なことは自分の近いとこから考えてよいと思う。そういう意味では、この1年ヨーロッパで経験できるであろう事から考えたい。

まずは日本のあるべきイノベーションの作り方、スタートアップエコシステム、スタートアップ投資の仕方、スタートアップの姿、そういうものを考えていき、私がどう貢献できるかを考えたいと思う。

日本のスタートアップはご存じの通り欧米に比較すると見劣りする、特にグローバルへの意識が低いと思う。が、ある意味仕方ないとは思う。私も苦労した/している言語の壁もあり(これはこれで日本として解決しないといけない問題だが)、私も人の事言えるほど日本以外の現地でガンガンビジネスを立ち上げているわけではない。だが、実際のユニコーン企業の数を見ても一目瞭然、日本は24年1月時点で7社だ。

2023年のユニコーン企業の数、日本は11位以下

よって、日本のStartupを盛り上げる指標となるユニコーン企業の数を増やすために、HVGとヨーロッパのスタートアップエコシステムでの経験を積むことは1つ大事なことだ。

ところで、↑の数字を見てお気づきと思うが、「あれ、ドイツだってフランスだって少ないじゃん!」ということだ。そうなのだ、やはりアメリカがダントツ1位。なので純粋にユニコーン企業を見るならアメリカを見るべきなのだ。とはいえ、政治、経済、お金の流れ、などは各国違うしスタートアップとVCを発明したアメリカが強いのは当たり前。一方でヨーロッパの方が日本の状態にあっていて参考になるのではないかと思っている。

さらには「イノベーションに本当に(アメリカのような)スタートアップエコシステムが必要か?」という考えもある。「日本になぜユニコーン企業が少ないか?」という問いは多く、ネットにも議論が載っている。文化や教育習慣のせいもあるようだ。であれば、逆に日本の文化に合わせたイノベーションを起こす仕組みがあってもよいはずである。それがスタートアップというものではないかもしれない。それを考える意味でもヨーロッパの状況は参考になるであろう。

もう一つはヨーロッパで活躍している日本人の皆様とも交流を深めたい。それは「世界が日本にどう貢献するか?」ということのよい示唆をいただいたり、議論が出来ると思うからだ。

上記のようにHVGにおいてVCとしての経験は非常に意義のあるものになる。すでにVCとしてのプロセスに参加させていただいていて、学びが多い。もし、日本でCVCではなくてVC業界に入ることがあっても役に立つことは間違いない。ただ、自分はVCで働きたいか、たぶん違う。では逆に事業をリアルに作りたいのか、なんとなく違う。じゃぁそういう仕組みをつくりたいのか、そうかもしれない。いずれにせよ、まだ分からない。「何をしたいか?」は永遠の課題だと思うので、1年で答えは見つからないかもしれないが、考えの変化などの向上が見られればと思う。

「日本人として日本のCapabilityを活かして、世界に貢献」これはMBA後から変わっていない。が、住む場所としては日本が最適だと思っていた。今回ミュンヘンに来て、ミュンヘンなら住んでもよいのでは?と思ってもいる。本当に来ないと分からないなと身に染みる。そういう意味では、↑に記載したことも経験によりまだまだ変わるかもしれない。

ミュンヘンには大きな公園がいっぱいある。

新たなる門出、ミュンヘンからヨーロッパと世界と日本を見る(執筆内容紹介)

皆様お久しぶりです。MBA修了後、帰国後もブログを続けるつもりではあったが、甘かった。子供達との時間も大事で仕事も大事で、ブログ更新の機会が作れなかった。今般、私の人生の上で再度大事な転換点を得ることができたため、執筆を再開しようと思った。

日本でのCOVID-19も去年(2023年5月)5類に移行したことで、国内外での人の移動が活発になった。そのおかげもあり、24年度からミュンヘンへの赴任が決まった。赴任先はHitachi Ventures Gmbh(HVG)の本社で、日立製作所のCorporate Venture Capital(CVC)をStartup投資面から担う日立のグループ会社だ。私はMBA卒業年の2019年11月に日立製作所に入社してから4年間以上を日立製作所の本社側でHVGと仕事をしてきた。よって、HVGのメンバーは勝手知ったる仲ではあるが、一方で初の、そして唯一の日本人(日立なのに)であるため、Excitingだ。

仕事内容は別途記載したいが、ここでは本ブログの当初記載した執筆内容のミュンヘン版を記載したい。

ミュンヘン。正直、5年前はあまりイメージのない名前であった。しかし、住むということで色々調査し現地を見ると非常によい街であることがわかった。詳細は別途記載するが、生活水準はドイツ1位で、非常に綺麗な街だ。子供もたくさんいて、よい街だなと感じる。

ミュンヘンといばビール、土日はみんな朝10時から飲んでます。

どころで、本ブログページのタイトルは「ケンブリッジ大学MBA、伝統と最先端の融合を探して」であり、今回の執筆再開においてタイトル変更が必要か考えた。しかし、ケンブリッジ大学MBAでの経験が、今の状況を作っていることは間違いないし、「伝統と最先端の融合」はプライベートにおいても仕事においても探していることであるので、タイトルは変更せずに進める。

執筆内容は以下だ。お付き合いいただけるとありがたい。

  1. 仕事を通して感じた事(仕事におけるキーワードは、イノベーション、スタートアップ、CVC、グリーン(環境)が主)
  2. ミュンヘンが属するバイエルンの歴史と今
  3. (主にヨーロッパとなるが)出張先での経験
  4. ミュンヘン生活

最後にブログを再開できた理由であるが、妻のおかげである。赴任が決まった際に妻と家族帯同について会話した。結果単身赴任となった。娘達とはなれることは寂しいが、一人の時間を得ることができた。これは妻がワンオペ(One Operationという日本語、妻(もしくは夫)が一人で家事育児を担うこと)を引き受けてくれたからだ。それを無駄にせず最大限に意義のある経験としたい。

注意必要かも、欲しがりません勝つまでは

新型コロナウイルスで自粛生活が続いている。5月末現在、日本の緊急事態宣言は解除されたが、昔の日常はまだまだ戻らず、将来的にも昔とは違う日常になるというのが世の中の認識だ。私も7月末まで原則在宅勤務という会社の方針である。

一方で、4月初期のころは、子供が外でサッカーしていることや、営業している飲食店の110番通報があったようだ。「自分が頑張っているんだからお前もがんばるのも当たり前」という、日本人の調和の精神のNegativeな面が出ていると思う。消費増税の時もTakeoutは8%で、店内は10%という事に対する批判で、「Takeoutといって店内で飲食した客をどう扱うか?」という疑問を持つ消費者がいたようだ。ほっておけばいいと思う。何かやむにやまれぬ事情があってそうしているのかもしれないし、ただ2%払うのが嫌だというのであれば自身の尊厳を傷つけているだけだ。

昨今は自粛が当たり前で、少しそれを外した行動をすると批判されることがある。今はそれが大事だと思う。実際、新型コロナウイルスにはわからないことも多いし、医療現場はおいておいて、市内のマスク着用がどれだけ意味あるのか科学的な論文は少ないようだ。だからこそ危機意識が大事だと思う。

ただ、妻と話していた、この世の中の危機意識が極端に走ったのが戦争中の日本だったのかもしれないということだ。戦争も急に起こったわけではなく、徐々に国と国の雰囲気が変わっていて、おかしいこともおかしいと言えない(言ったら捕まる)状況になったのだと思う。なるほどなと思った。コロナによって監視社会が進むのか、監視社会から警察国家になっていくのか。技術的には、センシングで人の顔の筋肉や温度等のデータを取れば、何にどう反応しているかわかる。それは感情まで把握されるということだ。昨今のコロナの影響で、そういう監視アプリに対する人々のハードが下がってきている感は否めない。少なくとも日本は第二次世界大戦の反面教師があるのでそうならないと信じたい。(のろけで申し訳ないが)妻から示唆を受けることも多く、ありがたい。

全く異なる話だが、日本は極端に匿名を用いるという話がある。これが日本のジャーナリズムが弱い理由らしい。欧米では新型コロナウイルスの犠牲者に対して実名と経歴を載せてお悔やみを申している。日本では有名人だけだ。「もし彼ら(取材相手)がバッシングを受けたら?報道記者には、「そんなことは起きません」という保証などできないというのが現実だ。」その通りだと思う。とは言えこの記事の結びは以下となっている。「匿名報道は、長い目で見れば結局のところ、メディア不信の源泉になりうると警告するのである。このこだわりを、報道記者は職業倫理として持ち続けるべきだろう。そうした報道側の姿勢が、不信と苛立ちが強まるコロナ禍の中にあって匿名社会への転落を防ぎ、人が正々堂々と意見を言える社会の基礎を固めていく一助になるのではないだろうか。」

ビジネスにアートは必要か??ヴェネチア人の考え等

MBA生最大の悩み、Post MBA(後編)を記載するべきなのだが、脇道にそれて2回目となっている。。生きていると「自分が忘れないうちに記載しておこう」と思うものが出てきてしまう。就活の話も早く記載しなければと思う(どんどん忘れていくし)。とは言え、今回は少しは就活に関係があるか?

「アート」と聞くと皆様はどうイメージするだろうか?やはり挿絵に使った「最後の晩餐」のような美術作品だろう。私もそうだ。ちなみに好きな作家に、原田マハさんがいらっしゃる。特に「楽園のカンヴァス」が好きだ。彼女のおかげで美術の見方が少し変わった、映画の見方も。「キネマの神様」は志村けんさんで見たかった。ご冥福をお祈りいたします。また、話が逸れたが、、実は「アート」に関しては疑問に思っていたことがある。「政治はアートだ」という言葉だ(知らなかったが、陸奥宗光の言葉のようだ)。なぜ芸術という感性的なアートが政治なのだろうか?と思った(思いますよね??)。実は大好きな塩野七生さんの本にもしばしばアート(塩野さんの本では「アルテ」)について記載がある。

商売を効率良くやっていくには政治、外交、軍事のいずれの面でも、非常にきめの細かい技を駆使しなければならず、そのようなアルテ(技術)は、作品を残すアルテ(芸術)に比べて、才能としても、少しも劣るものでないことを知っていた(海の都の物語 ―― ヴェネツィア共和国の一千年

民族の興亡のはじめには経済力の強大が来、次いで政治力の成熟が訪れる事実が、証明してくれるようです。つまり、人間が、自らの智恵をしぼってやるに値する「技(アルテ)」なのです。(マキャベリ語録

ヴェネチアの話を見ると「ビジネスはアート」という事は前提のようだし、マキャベリも「政治はアート」みたいなことを言っているようだ。そして、「アート」は「技」という事か。これは塩野さんの本にも記載があるが、アートの語源はラテン語のarsであり、ギリシャ語では自然に対比される人間の技や技術の事のようだ。これはMBA、というよりイギリスの大学に行ったことで理解できた。イギリス(欧米は全部そうかもしれないが)の学位の欄には大別して「BA」と「BS」という物がある。これはなんだ?と思うと、BAはBachelor of ArtsでBSはBachelor of Scienceだ。この場合Artは当然芸術ではなく、哲学や、音楽、言語学など人間が作り出したもの。歴史もここではArtsに含まれる(そうすると以前記載したエドワード・H・カーの「What is history」に対する考察と異なるが一般化するという意味で歴史がScience的な考え方をするという主張は上記の分類学的な話とは別だと考えたい)。ちなみにリベラルアーツ(Liberal Arts)はArtsやScienceを学ぶ前の基礎的な学問の位置づけだ。だから、Scienceを学ぶ前に文の書き方や説得力の向上を狙う”英語”の授業があるのは当然だ。私も慶應大学の3年生で、Technical Writing という授業を受けて、理系における文章の書き方を習った。

純ドメ日本人が必ず悩む「私の大学の学位ってBA?BS?どっち??」というのもこの考え方の違いからくる。理系と文系という考え方がイギリスにはない。乱暴に言えば、理系も文系もScienceでNatural Scienceが理系でSocial Scienceが文系だが、歴史はどっちでもないので注意が必要だ。

上記の文脈から明らかに「政治はアート(という学問の分類だ)」と言える。が、陸奥宗光や塩野七生はそういうことを言いたかったわけではないと思う。同じように上記の文脈から、「アートは人々が努力して作り上げてきた技」ともいえると思う。よって、「様々な要素を考慮して、きめ細かく知恵を絞って実行する技(アート)が政治だ」ということで、「それは芸術家が芸術を作り出すときの作業に劣らない」という事だと思う。男性は歳を重ねると芸術的な作業をしたくなるようだ。なぜ男性だけなのかは分からないが、歳を重ねることで自分の中に様々な要素が溜まっていく。それが混ざり合うことで良い作品が出来上がるのだと思う。アートなので、感性が必要だというのも、単純だがその通りだと思う。結局は感性も「様々な要素を考慮して、きめ細かく知恵を絞って」という事から発現するものだと思う。つまり、芸術も「センスや才能」というような一般的にどうすれば手に入れられるか分からない物に左右されるのではなく、人間の努力の産物だということだと理解している。よって、「ビジネスにアートが必要」と言われる場合、ビジネスに感性や芸術家的な要素が必要だという狭い意味より、もっと広い「人間の技」が必要だということだと思う。

そういう意味ではビジネス、特に経営もアートだと思う。MBAを卒業して経営に近いところで仕事をさせていただいているが、考える範囲や要素がMBA前と比べて莫大に増えた、世界、地政学、技術の範囲、地球環境、等々。ありがたい事である。このような膨大な要素を考える時、フレームワークや方法論は役に立たないと思う(当然ある特定の領域を整理する上では役立つ)。まさに芸術家のように(って、芸術家になったことはないので分からないが)頭の中にある経験や知識をなんとかして統合して形作っていくという非常に疲れる作業の継続が必要だと痛感している。