ネットワークの広げ方:Keio Downing Summer School

三田会というものがある、たまに雑誌でも特集されているが、慶應義塾大学卒業生のコミュニティーで、日本の経済界を牛耳っていると言われることもある。私は慶應義塾大学卒業だが、参加したことは一度もない。よって、中身がどのようになっているのかはさっぱり分からない。周りの同級生も三田会に頻繁に参加していると聞いたことはない。理系だからなのだろうか?英国三田会というものがある。イギリスにいる慶應義塾生(塾生)以外は知らないと思うが、イギリスの経済界を牛耳っているわけはない。が、やはりイギリスに駐在する日本企業の塾生は多いようで、規模は大きい。一度ロンドンの年次集会(ようは飲み会)に行ったが、300~400人くらいはいたと思う。MBAを目指し始めると、ネットワーキングが大事と言うことを方々から言われる。せっかく塾生なので、このネットワークを使わない手はないと思い、”イギリス、三田会”でググって連絡して会員にしてもらった。しかし、こういう会は(も)自身で何か行動しない事には内部でネットワークを作れない。”ネットワーキングをしよう!!”と言われるが、これは行動や中身、そのコミュニティーへの貢献が前提となった言葉で、ただ、Party Peopleになれば良いということではない。今回英国三田会にも足跡をつける事ができたのは、Keio-Downing Summer Schoolに参加して、行動したからだ。

こんな雑誌が昔出てた、読んだことないし、参加したこともないけど。。。

せっかく国際色豊かなMBA期間中、日本人Communityに参加する事が意味あるのかどうかであるが、帰国して日本を拠点に働くのであれば、ある程度は時間を割いても良いと思う。ただし、意識しなくても日本人と関わる事はあるので、意識して行動するのは日本人以外が基本的にはよい。特に、MBA期間の前半はそうするべきと思う。一方で後半になったら自身のCareer等がもっと見えてくるので、意味のある日本人交流であればするべきと思う。

どのように誘われたか記憶にないが、Michaelmas TermにCambridge大学にいる慶應義塾大学にゆかりのある人たちの集まりがあるということで、伺った。場所は、よく行く中華屋、Seven days。この2階にカラオケがあり、同級生とよく行っていた。人数は10人に満たず、研究で慶應から来られている方が多かった。その中で、幹事をやっていただいた日本人女性の方とそのSupervisorのオーストリア人の女性(Fellow)の方が、なんと私と同じDowning College所属であった。日本人の方はSFC卒で、オーストリア人の方は慶應で教鞭を取られたご経験もあり、日本で本も出版されている。話によると、Downing Collegeと慶應義塾は繋がりが強く、毎年Summer Schoolを実施して塾生を一か月受け入れているとのことだ。(後で知ったのだが、私がMichalemas Termで一人暮らしをしていたDowning College内の寮の名前はKEIOで、「ふ~~ん、たまたま名前一緒だな」と思っていたのだが、なんと慶應義塾が寄付した棟だった!)元々、教育には興味があり渡英前はVolunteerもしていたので、私も何か関われないかと思い、担当の方をご紹介いただいた。その後、一度Downingでその担当Fellow(インド人)とHigh TableでLunchをしながら、私の実施したい内容について会話した。

High Tableとはいわゆる上座で、この写真では天皇皇后両陛下が座ってらっしゃるテーブル。全Collegeの食堂にはHigh Tableがあり、基本的にFellow以上でないと座れない。

私がこの活動を実施した理由は3つある。

  1. 英国三田会側に足跡を残して内部の人と繋がる
  2. Cambridge大学内のMBA外の人と繋がる
  3. MBA内の教授と繋がる

1つ目は、英国三田会の方数名をこのSummer SchoolのDinnerに招待を主導することで、私のPresenceを見せることで実現する。Summer Schoolへの意味は卒業生が実際どのようにGlobal Playerになったかを、現塾生たちとの交流でFeedbackしてもらう、というものだ。2つ目は知り合ったFellow経由で他の学部やCollegeを巻き込んだSummer Schoolのコンテンツをアップデートすることで実現する。3つ目はBusinessという観点で、MBAの教授に協力いただいてコンテンツを作ることで実現する。実際Businessの観点で私も時間をもらって、塾生向けに1時間講演をさせてもらった。3つ目に関しては、MBAの授業を普通に受けているだけでは難しいため、1つのネタとしてこのSummer Schoolを利用させてもらう。

しかし、残念ながら上記3つのうち、実現したのは1つ目だけであった。Michalemasに企画を初めて、実施はSummer Termなので時間は十分にあった。原因は担当のFellowの私のActionに対する返信が遅かったことだ。が、実際担当Fellowとしては私の2つ目や3つ目のOfferには魅力を感じなかったということなのだと思う。

そうは言っても、1つ目の話を進める中で、慶應義塾大学のイギリスOfficeや英国三田会の幹事団(実際ロンドンで働いている方々がボランティアで実施)とお知り合いになることができた。一度、このSummer Schoolに参加している女学生から慶應イギリスOfficeに、相談があって、私に繋いでもらい、会話する機会を得た。相談内容は、「Summer School終了後女友達と二人で一週間イギリス滞在して各地を回りたいが、女友達が来れなくなったのでホームステイ先を探している」とのことだった。確かに、すでにMBAもSummer Termでインターン等でロンドンに住んでいる同級生女子もいるので、紹介はできるかもしれない。だが、流石がに20歳前の初海外中期滞在の日本人女性が一人でイギリスを回るのは危険ではないか(と思うのは保守的なのだろうか)?結局お母さまがイギリスに来くることになったようで、一安心。ただ、話を聞くと「Cambridgeに来ても結局日本人といる時間が多くて海外の方と交流する機会が少なくて残念」とのことだった。それはよく分かる。私もMBAに来る前の海外経験でも、結局英語はしゃべってないし、現地の方との交流もしてないし、自分は何をやっているんだろう?とよく思ったものだ。それに対する答えは「焦る必要はない」が「(帰国子女ではない我々は)どこかで本気で英語を勉強して機会を掴むしかない」ということだ。なんでもそうだが、「準備をして、機会が来た時に対応できるようにする」ということだろう。

その後のFormal Dinnerは、つつがなく完了した。この際来ていただいた、英国三田会のPresidentの女性の方は、なんとCambridge大学で教鞭を取られているとのこと。繋がるものだな、と思った。今回の私の企画に関しては非常に喜んでいただいて、ちょうどその時期に実施されていた、その方主催のConferneceにも招待いただいた。場所はJesus Collegeで、一週間、結構大規模なConferenceだ。お伺いしたら、お忙しい中1時間ほど私のために時間を割いていただき、二人で会話をさせていただいた。

写真じゃ分かりずらいが、正直Jesu College の方がDowning Collegeより古くて、広くて、かっこいい

今回の活動のおかげで、英国三田会、慶應義塾大学、Downing Collegeとはさらに強い繋がりができたと思う。今後、自身のやりたいことによってはこのネットワークを使わせていただいて、活動ができるだろうと思える。

課外活動って必要??Impulse Programme

Disneyが好きで人生初のアルバイトはDisneyのキャストであった。色々なことを学べたと思う。例えば、企業には理念/Misson(Disneyでは「ゲストにHappinessを提供する」)があり、それを元に我々の行動に落ちてきているのだな、とか。そのための行動原理として4つあり、4つ目に「Efficiency」とあって「Disneyっぽくないな」と思ったものだが、それも、例えばゲストをアトラクションで待たせ過ぎたらHappinessに影響する、ということのようで、「そのように落とし込むのか」と感心したものだ。このようにアルバイト等の外部の活動(課外活動)で色々な気付きを得られるはずなのだが、当時の私は「課外活動」をなんとなく、うさん臭く、遊んでいるようなイメージを持っていた。「課外活動」で例えばボランティアをやっていても、それが今の学業もしくは研究内容にどういう意味があるのか?と思っていたような気がする。ここでもDiversity観点が欠落していたなと思う。結局私はアルバイトくらいしかしていなかった。最近でこそ、Open Innovationが謳われてきたこともあり、外部Communityの活用が企業でも重視されているし、ヘンリー・ミンツバーグも「私たちはどこまで資本主義に従うのか」で、Community活動は重要となっているが、昔はそこまでではなかったと思う。しかし、今回課外活動の重要性を認識した。

MBA受験用のエッセイでも「課外活動」を記載する欄があるし、MBA中も「課外活動」が推奨されている。在学中は「課外活動」の一つとしてImpulse Programmeに参加した。 以前にも記載したが、Cambridge MBAの強みの一つとしてEntreprenuershipが盛んな地域ということがある。Cambridge自体が、歴史的に理系に強い大学であり、そこから生み出される新技術をもって起業したり、そのような技術やそれを創出している人材を求めて企業が研究所を置いている。そのEntreprenuership Ecosystemの一翼としてMaxwell Centreという場所がWest Cambridgeにある。そこで毎年開催されるStart-up向けプログラムが、Impulse Programmeという(どちらかというとアクセレレーターというより(下記参照))インキュベーション・プログラムである。West Cambridgeはこのような大学と産業を繋げる場所として定義されており、Maxwell Centreや Cambridge Enterpriseという大学のVenture CapitalのOfficeがある場所の総称である。Impulse Programmeの対象はPh.DやPost-Docだ。

Startup EcosystemとしてのCambridge
右側がCambridgeの中心で、左上の赤枠がWest Cambridge
Cambridge MBAのElective、New Venture Finance、Session1の資料より抜粋
Robert (Bob) Wardrop

参加経緯は同級生のSlavanというオーストリア人の活動からだ。彼はScientistであるが、すでに起業しており、非常に優秀だ。彼自身がCambridge内のNetworkingで出会ったAlexandraという女性がImpulse Programme全体のCoodinatorをしており、Slavanが彼女と会話したことが発端であった。SlavanからSlackとWhatsup(同級生内のCommunicationにはこの二つを使っていた)に「興味がる人はDM(ダイレクトメール)くれ」と記載があり、課外活動に飢えていた私は早速Slavanに連絡したのが、Lent Termの後半、2月か3月くらいだったように思う。結果として6名のMBA同級生と参加することになった。

参加MBA同級生6人。なぜかNicが写ってない。。一番右がリードしてくれたSlavan。

Impulse Programmeは4月から7月の3か月間のプログラムで、参加者は事前審査で50~60名くらいの人数に絞られて、6~7名のチームに分けられる。Goalは投資家へのPresentationであるが、それまでにMentorとの会話を経て、現実味の高いビジネスプランにもっていく。各チームにMentorとFacilitatorが付いて、Mentorは実際の起業家や投資家だ。私が担当になったチームのMentorはarmの創業者の一人であるJamie Urquhartであった。このプログラムの中で決められた集合時間は4月のオリエンテーション週と7月の最終発表週のそれぞれ一週間であり、この期間でMarket ResearchやFinancial Plannnigのセッションがある。その期間以外は自由時間であり、Presentationに向けた作業やMentorへの相談をする。 FacilitatorとしてはMBAの同級生が実施した。ちなみにハーバード大学卒のアメリカ人同級生が参加者にいたのだ、今回初めてしゃべった。。

途中のSessionの一枚、ノーベル化学賞受賞者の Sir Gregory “Greg“ Paul Winter

Facilitatorの役割は、主催者側も考慮してくれていて、「Team Memberへの連絡」や「提出物が遅い人へのNudging」をして欲しい等々を定義してくれていた。ただ、これはFacilitatorとMentorや他の参加者が困らないように役割を与えてくれただけであり、実際は実務経験やMBAの勉学からTeamの議論にコメントしたり、相談に乗ったりすることを実施すべきであろう。私自身つたない英語で無理やり議論中に意見を言ったりした。意味があったかどうかはおいておいて。MBA同級生の中にはもっと積極的な人もいて、 Egor はPwCやDeloiteというコンサル会社を渡り歩いている人物だが、すごくTechnicalな人物で、 Team Memberの一人と会話をして自分のData Scienceのバックグラウンドを生かして一緒にPitching(プレゼンテーション)をしていたメンバーもいた。さすがだ。 私にとって最もよかったことは、MentorのJamieと知り合えたことだ。イギリス人だからなのかCambridgeにいる人だからなのかは分からないが、彼らは非常に縁を大事にすると思う。まさに一期一会でこの「たまたま」あったと言うことを大事にしていると思う。ちなみにJaimeはスコットランド人だ。「English?」と聞くと「No, Scottish」と返ってきた、迂闊。。彼と話した内容は「私は基本的にSEなのだが、Venture Capitalや似たような世界に行くためにはどうすればよいか?」というものだ(なぜVCについて聞いたかはまた別の回で)。彼も自分はGeekだと言っており、(って私はCodingもできないのでGeekではないが、広い意味でオタクで理系ということの意味だということにしておきたい)それでもOperation担当になったことで、armの創業活動からVCの実施まで出来たと言っていた。Operationを経験することが必ずしも必要ではないが、自分にとっては意味があった、と。この言葉には考えさせられた部分がある。自分の年齢を考えて、「もっと早く」と思った部分もあるが、一足飛びに行く必要はないのではないかとも思い始めた。やはり、こういう会話の機会は貴重だ。ちなみにCambridgeは町が小さいので、「少し話したい」というのには非常に良い。東京みたいに移動に数十分かかったりしないので、気楽に「じゃぁ昼に」とか、「じゃぁ夕飯後Pubで」といえる。

Impulse Programmeへの参加はMBA生活の後半に実施したこともあり、ある意味MBAを総括しつつCareerを考えるいいきっかけになったと思う。このような課外活動、もしくはCommunity活動は普通に仕事をしていても重要だと思う。なぜならばMBAもそうだが、完全に自分の要望にマッチした仕事というのはないと思う。それを補完するのがCommunity活動なのではないだろうか?例えばIT企業に勤めていても、政治や経済のことを考えたいとか、もっと住んでる地域に貢献したい、等々。

最後のDinnerチームメンバーと。後ろの右から2番目がJamie

30代後半の大運動会:MBAT

約 one quarter 振りの更新となってしまった。熟読に値する文になっていないと自覚しつつも、練習がてら真面目に文を書こうとすると時間がかかる。構想、調査、文構造の考慮、等々やっていると1つのブログに半日ほどは必要(ちなみに今回は経験した事を書いただけなのであまり調査事項はない)。一方でブログは日々の小さな気づきを徒然なるままに記載すればよく、そんなに肩肘張らなくても、短い文をたくさんアップした方が良いのかもしれない。ただ、私の場合は、自身の経験の整理も兼ねているのでこのスタイルでやっている。言い訳だが、そうするとMBA期間中に記載するのは難しくて、一区切りついた段階で記載することになってしまう。今はどういう区切りかというと、10月1週目、日本に帰国して一息ついたところである。つまり、MBAが終了し、なんとも言えない気持ちが渦巻いている。

これについては別途記載するとして、今回はMBA Tournament (MBAT)について記載する(ちなみに実施されたのはゴールデンウィークの時期)。

MBATはヨーロッパのMBA生が参加する年に一回の大運動会である。開催場所はフランのHEC(英語ではヘック、フランス語ではアシュセ、私はもっぱらアシュセで呼ぶ)で、私もMBA準備中には目指した大学の一つ。しかし、Campus Visitをした際にHECとCambridgeに赴いたのだが、Visitする前はHECが第一志望であったにも関わらずCambridgeの雰囲気を見て、すぐにCambridge第一志望となった経緯がある。HECではMBAT開催は学生主導でやっており、当然他校それぞれのOrganization(宿や移動手段、ユニホームの手配等)も学生がやっている。HECでは一大イベントということもあり、主要企画メンバーとして参加すれば単位になるようだ。確かにこのイベントのOrganizeはチームワークやOperationで学んだ事を生かす良い機会に思えた。

ホテルとHEC間はバスで移動
定期的にMBAT用のバスが巡回しているので好きな時に行き来できる

参加校としてのCambridge MBA生視点で語ると、まず、Michaelmas TermにMBATのCambridge側Orgnizerの立候補が始まる。そして、Lent Termに競技の募集が始まり、それぞれの競技のリーダーになっている同級生にコンタクトして選抜や練習に入れてもらう。全部で31競技あって、一般的なスポーツだけでなく、ダンス、バンド、チェスやe-Sports(TV game)もある。私はサッカーとドッチボール、マラソンに応募したのだが、正直もっと応募してもよかったと思う。MBATは4日間あるのだが、競技に参加していない時は比較的暇だからだ。特にe-Sportsは応募しなかった事が悔やまれる。そして、サッカーは選抜で落ちた。。実は結構本気でやりたかったので残念だったのだが、私は周りの同級生に比べたら大分おっさんなので、当然動きが鈍い。。結果には納得だ。

HECのサッカーグランド 緑っぽいユニホームがCambridgeで赤の相手は多分LBS
本当は結構出たかった。。
ドッチボールのチームメンバーと

ちなみに、学校内外含めた良いネットワーキングの機会なので、基本的には参加した方が良いと思う、スポーツを一緒にすると仲良くなるのは万国共通。Cambrigeのシンボルマークのライオン(Cambridge Lionと言うらしい)が付いた緑っぽいユニホーム(Cambridge Blueと言うらしい)も支給される。とはいえ、参加していない同級生も結構いて、イメージでは参加者は5割〜7割くらい。私はCambridge外の人との交流はあまり無かったが、Cambridge内でも新たに懇意になれる友達が出来てよかったと思う。

夜は、例に漏れず、毎日Partyがある。正直体力的にキツイが、折角なので毎日出た。このParty中にダンスとバンドのCompetitionがある。ダンスは日本人の女性同級生がリーダーをやっていて、すごくカッコよかった!!また、ポーランド人Jan(ヤン)の同級生が奥さんとバレェをやっていてプロレベル。ダンスに組み込まれていた。

Cambridgeのバンド GCPで一緒だったダニエラ(左)がボーカルをしている
Janの奥さん、Natallia
Israeli TrekにJanと一緒に来ていた

最後はパリでParty。HECはHEC Parisと言うのが正式名称なのだが、HEC生もよく言っている通り実はパリは遠い。とは言っても、パリに憧れて2年目くらいからはHEC生もパリに住むよう。なので、パリにちゃんと出たのは最終日が初めて。HECからはむしろベルサイユ宮殿が近い。

右上がパリ市内 左下の上の赤丸がベルサイユ宮殿で、下の赤丸がHEC
凱旋門前でタキシード着て写真とか、すごい経験

実は、MBATの前日に日本人同級生の家で夜中過ぎまで飲んでいて、自転車で顔からコケた。その結果顔はカサブタだらけ。MBATで同級生に会う度に何度も「どうしたの!練習しすぎ??」と聞かれて、毎回「いや飲みすぎて・・」と返答。。多分100回くらい聞かれた。36歳でこんな事して許されるのもMBAならではですね。。

0歳児の3泊海外旅行(w/国際MBA生): チェコ共和国

歳のせいか、人様のお名前を覚えるのに苦労する。特にMBAの同級生の中にはスペリングを見てもどう発音するか分からない人もいて、発音を聞いても私には難しくて何度も聞いてしまう事が多々あった。逆に私の名前の「ひであき」の「ひ」が発音しにくいと聞いていたので、若林の”Waka”と自己紹介していた。でも、何人かの同級生は「”Hideaki”全然発音できるよ!」と言ってくれて、”Hideaki”と呼んでくれる、嬉しい。私も頑張らねば。

Prague、チェコ共和国の首都プラハの事だが、英語ではPragueで発音は「プラグゥ」。ただ、チェコ語では「プラハ “Praha”」と言うらしい。このように、日本語の発音の方が現地の言葉に合っている事も結構あるように感じる。例えばスイスの首都「ジュネーブ」。英語では”Geneva”で「ジェニーバ」と言わないと通じない、ただフランス語(スイスの公用語)では”Genève“で「ジュネーブ」の方が近いよう。しかし、これもスイス人とフランス人で発音が違うように聞こえる

チェコの街並み(赤い屋根が趣を感じる)と同級生(参加者全員ではない)。企画者は左から4人目のサビーネとその旦那さんのマット。マットはMBA生ではない。ちなみにスイスに一緒に行ったエイミー(左から3人目)とダニエラとも今回一緒だった

さて、日本ではゴールデンウィークの後半に、MBA同級生のチェコ人(サビーネ)が企画してくれたPrague Trekに同級生、総勢約20名で旅行した。東寄りのヨーロッパにも行きたいと思っていたので、Whatsup(LINEみたいなもの)でサビーネが企画を公表した時に早速相談した。相談というのは、幼児を含む家族を連れていきたいという事である。基本的には皆Welcomeであるが実際のLogistic的な問題はしっかり確認しないと当日困ると思う。例えば、ベビーカーで行けるか(個人的にベビーカーは機動性が悪いので抱っこ紐で行くのではあるが)、歩くとしてどのくらいか、静かにしないといけない場合があるか、等。サビーネはよく相談にのってくれた(サビーネ、ありがとう!!)。今回は、歩く場所は多いが妻と相談して私が抱っこすれば問題ないだろうという結論になった。1日目の夕飯は時間が遅かったため子供を任せて妻にはホテルに待機してもらうことにした。申し訳なかったが、チェコを良く知る人に案内して貰える旅行も中々ないので妻も了承してくれた。ありがとう。また、2日目の夜にオペラが含まれていて、妻共々行きたかったが、流石に幼児は連れて行けないので、今回は辞退した。ちなみに”Trek”を使う時はBusiness Trekの意味らしく、何かしらビジネス関連のActivity(企業訪問とか)が必要らしい。よって、今回のプラハ旅行は正式にはTrekではない。

主に2日間で、1日目がプラハ観光、2日目が電車で1時間ほどのクトナー・ホラ(Kutná Hora)へ。前後が移動日なので、3泊である(「スイスの4泊の次は5泊か」と期待していた方ごめんなさい、、ってそんな方いないか?)。我々3名のみ、市内のホテルに泊まった(他の同級生は相も変わらずAirbnb)。今回はスイスの教訓を生かして、少し高くても広めの部屋を取った。ちなみにホテル選びの基本的な判断基準は朝食付きで一泊1万円程度を選んでいる、朝ご飯をどこで食べようか考えるのを好まないからだ。

ホテルは右下のアンナホテル、集合場所が真ん中下の聖ヴァーツラフ像であった、ホテルから歩いて10~15分。真ん中のKantyna は後述の2日目のレストラン

1日目のプラハ市内観光の午前中は、主にチェコの近代史の話。今回も旅行会社のエージェントが同行した。旅行会社と言っても、日本のようにスーツ着た添乗員さんのイメージではなく、地元のお兄さん、お姉さんのイメージだ。最近は東京でもそういう傾向があるような気がするが。最初は第2次世界大戦時の話が主で、スデーテン割譲後のチェコスロバキア解体や大戦後の共産化、「プラハの春」後の民主化の内容である。この時もシナゴーク(ユダヤ教の教会)の案内を受けた、当日は特に印象的に思わなかった。しかし、イスラエルに訪問した後だから感じるが、ドイツ第三帝国によるユダヤ人迫害の歴史は、ドイツ自体だけでなく、占領下各国においても重要な要素のようだ。一方で、私が元々チェコに訪れたかった理由は西欧とは異なる雰囲気を感じられると思ったからだ。そういう意味ではモルダブ川にかかる有名なカレル橋(Karlův most)とプラハ城(Pražský hrad)は圧巻だった。カレル橋は両岸に塔が立っており、橋自体には等間隔に像が立っており、橋幅は車が2台通るには狭いが、人が通るには十分で広く感じた。昔は馬が複数列で行進したのだろう。プラハ城はギネスブックによると最も古くて大きい城のようだ。

カレル橋は真ん中の線(車が通れないので細い線で表示されている)とプラハ城(左上)
モルダブ川に架かるカレル橋
カレル橋(左)とプラハ城(右上)と参加者数名(左から、ブラジル人、アメリカ人、インド人(カナダで仕事)、トルコ人、チェコ人、チェコ人、ヨルダン人(ドバイで仕事)、(下に行き)日本人、香港人、日本人)

実はこの日は非常に寒く、プラハ城に着く頃には雨も強く、寒さ対策に翻弄されてあまり覚えていない。。ただ、昼食は美味であったのは覚えている。サビーネとマットと同じ席だった。マットがビールを頼んでいたので、私も頼み、私が常々疑問に思っていた、ヨーロッパの人は思ったよりお酒を飲まないという話をすると、「チェコ人はヨーロッパの中でもお酒、特にビールをよく飲む人種だ」と言われた。実際マットと私は昼食で2 pints(1 pintは500mlより少し多い)のビールを飲んだ。サビーネも元々よく飲むという話をMBAコース中も話していて、「チェコで一緒に飲めるのが楽しみだね」と言ってたが、幸運にもPrague Trek企画中に妊娠がわかり、今回は飲んでいなかった。妻も元々お酒が好きだが最近飲めていないので、お互いその点だけは残念がっていた。

ちなみに、このモルダブ川、Google Mapではブルダバ川と記載があるが、発音は「ヴルタヴァ」が近いよう。日本だとよく中学の合唱コンクールで歌われるらしい「モルダウ」の発音が有名のようだ。川と言えば、ヨーロッパの首都には有名な川が流れている、モルダブ川、ロンドンのテムズ川、パリのセーヌ川、ローマのテベレ川、そしてケンブリッジのケム川。飲み水確保の意味もあったろうが、水運を担っていて物資輸送に利点があったという話も聞く。東京はどうだろうか。以前神田川クルーズを体験した時に、神田川と隅田川が水運を担っていたとの説明を受けた。しかし、現在神田川の存在感は上記の川と比較しても存在感が薄く感じられるがどうだろうか。

プラハには世界でも屈指の歴史を誇る大学、プラハ・カレル大学があり、1348年に神聖ローマ帝国皇帝カール4世が創立した。ちなみに総合大学で最も古いのはイタリアのボローニャ大学で1088年創立。次がオックスフォード大学で1096年、そして3位がケンブリッジ大学で1209年だ。・・・と言いたいところだが、資料によってはパリ大学やスペインのサラマンカ大学、いやいや南京大学が9世紀で最も古いという記述もある。

2日目はクトナー・ホラ。私としてはここの聖バルボラ教会が今回の旅行のハイライトだった。遠くに教会の全景が見えて、向かって坂を登っていくと、この教会の尖頭が見えてきて、教会の全景が見えるとそこまでは左側が崖になっている道があり、ここも等間隔に像が立っている。こういう風景を見るとPlayしていたRPGを思い出して、何か冒険ができそうでワクワクする。ちなみにプラハ城の下に「ヴァレンシュタイン宮殿」という場所があるのだが、これもAge of Empires 3でドイツでプレイすると「ヴァレンシュタインの契約」という政策を使えて、それで名前を覚えていた。(そんなことをやっていたのでMBA受験に4年もかかったのだろう。。)

遠望の聖バルボラ教会と今回の全参加者
坂を登ると見える教会と橋
思い出す冒険の日々(Dragon Age:Inquisition より)

2日目の夕飯は、オペラを辞退したこともあり、妻と子供と3人でサビーネに教えてもらったお肉専門のレストラン、Kantýnaへ。基本的にお店は予約をする。予約の方法は基本的にメール。公用語が英語以外であると先方も英語の会話が苦手な場合もあるし、国際電話よりもメールの方が良いと思っている。ただ、今回のお店は予約できなかった。理由は直接行って理解した。このお店はお肉屋が基本でレストランは併設だ。注文は基本Self-Serviceでお肉の種類、グラム、調理法を頼む。席も立ち席と座り席があるが空いたら勝手に座る形式だ。だから、予約は受け付けていないし、安めの値段で提供される。高級店ではないが、多くの人が来店していて賑わっていた。

Kantyna の店内、お肉をオーダーする場所

今回も同級生が妻子を快く受け入れてくれたし、スイスとは異なり全日程が旅行だったためリラックスして過ごす事が出来た。比較的女性が娘との交流を楽しんでくれていたのは日本も一緒だなと感じた。一方で、海外旅行に幼児を連れていくというのは日本だとどういう印象を持たれるのだろうか?「幼児を連れて旅行に行くなんて!」なのか、「家族でそういう経験大事だよね」なのか。帰国しないと分からないだろう。みんな娘と遊んでくれて非常に嬉しかったし、彼女にとっても良い経験になっていると信じている。少なくとも写真等を見て、幼児の時に国際色豊かなメンバーと交流したという事実がよい影響を与えるようにしてあげたいと思う。

ダニエラとモハン(中国人)。モハンにも2歳のお子さんがいるが、この日はモハンのお母さんとCambridgeでお留守番
プラハの夕焼け

MBA外の人と交流しよう!:Venture Creation Weekend

2019年7月19日。このブログを記載している日であるが、寒い。。昨日とか日光が出てると中々暑さを感じるのだが、今日は曇りで日が陰ると寒くなる。ここら辺は日本と違って湿気がなく、カラッとしているからなのだろう。しかし、この寒気でさらにクーラーを点けなくても良いと思うのだが、そんな中、図書館では同級生のロシア人が半袖で作業している。ここら辺の感覚は今でもよく分からない。それは置くとして、7月なのに涼しく感じられるのは日本人としては幸せなのだろうと思う。日本を思い出すと、この時期はもう汗だく。。。

比較して、まだまだ寒かった3月にCambridge Judge Business Schoolで開催されるVenture Creation Weekend (VCW)というインキュベーション・プログラムに参加した。MBAコース内には組み込まれておらず、Judge内で開催されるイベントの一つだ。以前記載したが、Cambridge大学周辺はCambridgeが理系に強いということもあり、スタートアップが盛んなエリアだ。AmazonやMicrosoftも研究施設を構えている。そして、ビジネススクールとしてJudgeもEntreprenuership Centre を構えていて、そこの主催でVCWが年に3回開催される。今回のテーマはInnovation in Food Security であった。他にもIgniteという一週間のプログラム等、MBAコースとは直接関連のないEntreprenuership Programme がある。

このVCW、最初はよくあるWorkshop (社内研修やMBAコースでやるような1日起業体験コースみたいな)程度だろうと思って参加した。しかし、参加者はPos-DocやPhDが多く(Cambridge大学でない方も多い)、彼ら彼女らは自身が研究しているIdeaをビジネスにしたいと思ってきているので、自分達のIdeaに熱意を持っている。そこが一般的なWorkshopとは根本的に違った。

参加者は70人くらいか、Natural Science(理系)関連の研究者が多い、内MBA生は1割超えくらい

1日目は、Ideaを持っている参加者が簡単なプレゼンをしつつ、10個くらいのIdeaに絞ってチームを編成することに費やされる。そして、2日目と3日目は基本的にはIdeaのビジネス化で3日目午後の投資家向けプレゼンに備える。メンターとして実際の起業家や投資家が参加してくれて、1日に3回も相談する時間を設けることができる。

右下の方がメンターの一人

このメンタリングが結構良くて、聞けば確かにそれが当然重要(例えばMonetizeどうする、とか、最初顧客をどう取り込むとか、まぁBusiness Development(事業開発)の基本なのでしょうが・・・)とわかるが、聞かないと見落としている部分だ。そして、皆自身の経験から進め方を教えてくれる。例えば、Financingについて質問した時に「正直コストは大体見積もりが甘くなり、後から必要な物が分かることが多い。かといって過剰見積もっても投資家に受け入れられない」と言われた。結局アドバイスとしては、「今そこまで考えるより、定性的に魅力的なビジネスか」を考えた方が良いとのことだった。そして、当然だが、How Can I help?と聞かれるので質問は明確に考えてこなければならない。

この辺りMBA生として私が網羅的に考慮点をまとめないといけない部分ではあるが、まだまだである。しかし、MBAコースで学んだことを実際に考えて意見を言えるので良い機会だった。今回私のチームはMBA生が私1名だったのも非常に良かった。私が考えている間に他のMBA生に意見を言われてしまうこともないので、拙い英語でも議論がリードできたし、自分で考えるという機会も得られた。実際、Financial Modelingの経験はないが、私に任せれもらえて良い機会であった(どちらにしろやるしかなかったのだが)。

左3名の女性はCambridge大学在学(今回は真ん中の女性のIdeaを元にビジネスプランを作成)、右端の女性はドバイより、右の男性はインド人でチーム内で一番Maturityが高いと感じた

また、MBA外のメンバーとチームワークをするということも勉強になった。MBAの同級生は、私の英語スキルに配慮して最初から気を遣って喋ったり確認したりしてくれるが、今回はその点、私から直接的にお願いする必要があった。また、ビジネス用語やビジネス感覚についても考慮する必要があり、彼ら彼女らのIdeaを理解し、噛み砕いて、成果物に落としていく、というプロセスをもっとよく考えるいい経験になった。例えば、網羅的に考えるよりも、一つの事を突き詰める傾向にあるため、その場合、議論の方向修正が必要な事などだ。

今回のテーマが「食の安全」であり、我々のIdeaはCambridge大学のPos-DocであるErika Freemanの研究が元である。彼女の研究は食物の二酸化炭素排出量が分かるDatabaseを整備するというもの。ビジネスアイディアとしてはそれをユーザーに提供して、Eco-Friendlyな食物を選んでもらおうというものだ。正直、わざわざ二酸化炭素排出量が少ない食べ物をスーパーで選ぶか?と思ったが、リサーチすると、確かにUKでは敢えてそのような物を買うという傾向があるよう。環境への配慮が強いようだ。

表彰

それもあってか、我々のチームは投資家からの評価は全体の中の2位であった。本当にこのまま真面目に進めれて、色々な方達と相談をしていけば、ビジネスを始めることできるのではないかと思える内容だった。もちろん、そのためのハードルはたくさんあるだろう。また、今回参加したことで、これが全てではないと思うが、Ventureを社会へどう出していくかという部分、CambridgeのStartup Ecosystemの一部が垣間見れたことが良かった。これについては別途記載しようと思う。

メンター・セッション中の参加者


「男のロマン」の果て(?)イスラエル紀行(上):歴史

2013年にIBMがイスラエルのサイバー・セキュリティー会社、Trusteerを買収した際に日本で統合の支援をした。その時、上司に「ワカ、イスラエルとりあえず行っとく?」と言われたのが最初のイスラエル訪問の機会。その時は、あまり「行きたい主張」をしなかったので、雲散霧消したが、今回は「行きたい主張」を妻にした結果、イスラエル訪問が実現した。一週間も妻子を異国に残して旅行するなんて、イクメンからは程遠い。感謝の限りである。

さて、MBAの授業も終わり最後のSummer Termが始まる前にイスラエルという国を、Business Trekの一環で回れたことは、非常に意味があった。他にも溜まっているブログネタがあるのだが、イスラエルに関して先に記載しようと思う。全3回、歴史、政治状況、スタートアップ、に渡る。1回目は歴史について(ちなみに、以下の記述は大体現地のガイドの話か、ウィキペディアか、塩野七生の本からの知識であることを断っておきたい)。歴史を知らないと、「トランプがエルサレムをイスラエルの首都を認める」と宣言したことの何が問題なのか分からない。から記載したいというのは建前で、本音は私のイスラエルに来たいと思った最大の理由が「男のロマンが詰まった歴史的な意義がある場所を訪れたい」であるからだ。なぜ男のロマンかというと、ライオンハート・リチャードやサラディン、テンプル騎士団等、心くすぐる固有名詞がたくさんあるからだ。ライオンハートは日本語では獅子心王、英語ではRichard the Lionheart、カッコよすぎる。イスラエル人には「いやいや、日本の方が侍とか忍者とかロマンだろ」と言われそうだが、「男のロマン」は日本語だろうからまぁいいだろう。ちなみに同行した同級生のドイツ人に「チュートン騎士団(Teutonic Order)がドイツの起源だよね?」と聞いたら「まぁ、間違ってない」との話だったので、ドイツもエルサレム発のロマンの国ということに勝手にしておきたい。

ライオンハート・リチャード(ロンドンにあるのに、まだ直接見てない。。。)

そもそも、イスラエルという国自体は1948年に建国されている。であるのに、なぜ歴史的な意義があるのかというと、そこが聖地と呼ばれる重要な地であり、それが故に民族や宗教による衝突が度々発生しているからだ。この新しい国でありながら、歴史的重要性を内包している、というのが興味を引く部分であり、昨今の中東情勢に関わる部分なのだが、それは次の回に。イスラエルを語る際にユダヤ教を切り離すことはできない。その成立はかの有名なモーセが紀元前1280年頃に出エジプトを実施して、シナイ山で神ヤハウェと契約を結んだことによる。現代のイスラエル人もユダヤ人が多数を占めるとはいえ、多民族国家。古代イスラエル人もいわゆる12氏族からなり、結果としてその内の「ユダ」族を含む2氏族からなる国がユダ王国であり、この国が滅亡後にユダヤ教団を設立した(紀元前539年)。そして、その都がエルサレムであり(英語ではJerusalem、発音はジュルーサレム)、かつてはエルサレム神殿が紀元70年にローマ帝国に破壊されるまで存在した。地図を見ると小高い丘の上にあるので、戦略的要地だったのだろうと推測されるし、実際ユダ王国より昔から重要地であったようだ。そういう歴史からユダヤ教にとって非常に重要な聖地なのだと思う。

現在、エルサレムはイスラエルが首都と認定しているが、国連は認めていない、それはパレスチナとの問題があるからだ(現在の話は次回)。つまり前出のトランプの言はイスラエルとパレスチナの関係に油を注ぐという事で、非難されているのだろう。東エルサレム、西エルサレム、そして旧市街に分かれている。西エルサレムはイスラエル支配で近代的ビルが立ち並びStart-upも盛ん、東エルサレムは元々ヨルダン支配で、1967年の第3次中東戦争以後はイスラエル支配だが、パレスチナ自治区が首都とみなしている。そして、旧市街が最も歴史的場であり、これがイスラエルの特徴の元であると言っても過言ではない。旧市街もざっくり以下のように4つに分かれている。嘆きの壁や聖墳墓教会は訪れることができたが、岩のドームへは時間的な入場制限があって訪問できなかった。岩のドームは地図のようにイスラム教管理下にある。ちなみにテンプル騎士団の名前の由来はエルサレム神殿の「神殿」=「テンプル」で、元本拠地は壁内にあるため、現在はイスラム教管理下。

旧市街全景ここから拝借

嘆きの壁はエルサレム神殿の名残であるため、ユダヤ教にとっては最も神聖な場所で、男女別に入る必要があり、多くの信徒が祈りを捧げている状況を見ることができた。嘆きの壁はイスラエル管理下。

嘆きの壁とその横にある礼拝所へ入る子供達
嘆きの壁と2019 Cambridge MBA Israeli Trek 参加者(アメリカ人、メキシコ人、イギリス人、ドイツ人、ポーランド人、ロシア人、インド人、シンガポール人、中国人、日本人、等々)

聖墳墓教会はローマ帝国皇帝コンスタンティヌス1世が325年頃に、キリストの磔刑の場所ゴルゴタに教会を建てることを命じたもの。よって、キリスト教にとっては非常に重要な地で、キリスト教内のカトリックや東方正教会など複数の教派が共同管理していて、それぞれの教派によって教会内の重要な場所も異なる。また、ローマ帝国時代に作られたものや十字軍時代に作られたものが混在していて歴史の移り変わりを感じる。

キリストの身体が埋葬のために準備された場所であると言われている石物を触る人々
アルメニア使徒教会にとって重要な聖ヘレナ教会

ローマ帝国滅亡後は基本的にイスラム教徒により支配されていたため、本教会も破壊された歴史があるのであろうが、部分的にしろ残存している(ローマ帝国時代の柱と十字軍時代の柱が不自然に並んでいた)ことが素晴らしい。おそらく、イスラム教徒支配下であっても寛容で他文化他宗教等の多様性を受け入れる気風があったのであろう。実際、イスラム教支配下の時代でも、ヴェネチア共和国などはエルサレムへの聖地巡礼パックツアーなるものを販売していて、ヨーロッパのキリスト教徒も聖地巡礼できたようだ。そして、度重なる十字軍が、むしろ、そのような寛容気風を壊してしまったとも言えるかもしれない(十字軍側はムスリムを虐殺したが、サラディンはキリスト教徒虐殺をしなかったと言われている)。現在も旧市街を4つに分けることで、異なる宗教が共存するための努力をしているように見える。実際、旧市街を回っていても、特に衝突が発生するようには見られない(まぁ、それは観光地化しているからかもしれないが・・・)。ちなみに十字軍の歴史的意義は、宗教的なものよりも、アラブ側の当時の最新技術がヨーロッパにもたらされたという東西交流の促進にあるという記述をよく見る。

別日に訪れたのはマサダ要塞。死海の辺りにあり、いわゆるWest Bank(パレスチナ自治区)の近くにある。

マサダ要塞場所(マサダ山頂上遺跡群)(点線はパレスチナ自治区、いわゆるWest Bank)

この地は70年にエルサレムがローマ帝国軍により陥落された後、最後の抗戦地となった。イスラエル国防軍士官学校卒業生は山頂で「マサダは二度と陥落せず」と唱和するようで、我々も多くの国防軍の兵士を見ることができた。難攻不落というのがよく分かる切り立った崖の上にあり、蛇の道と呼ばれる細い登山道を通らないと頂上へは行けない(ちなみには今はロープウェイが整備されているらしいが、訪問時は知らなかった。)。

マサダ要塞からの死海と朝焼け
切り立った崖、蛇の道とイスラエル国防軍兵
唱和する士官学校卒業生と思われる若者たち

前日にはべトゥイン人(古代から存在する遊牧民族、しばしば歴史に傭兵(と言うと怒られるかもしれないが)として登場する)のテントに泊まった(観光目的の場所であると思われる)のだが、そこで国防軍の一団もおり、2名の、おそらく士官学校生と思われる女性(大学生くらいの年齢か)と会話する機会があった。どこから来たのか?と聞かれて、「イギリスのCambridge大学だけど、世界中から来ているよ」と返したら、「私もCambridge大学に入りたいんだけど、英語ができればいいのかな?」と聞かれ、「イスラエル人ならDiversityの観点からもMBAとしては歓迎だろう、ましてや軍隊経験があればなおさら」と話したら喜んでいたのが印象的だった。

それにしても、Nationalismが再度台頭し始めて、Diversityが叫ばれている昨今、歴史的にも、また旧市街の現状からも他文化他宗教間の均衡を、現地の人たちのレベルでも、うまく保っているように見える。「融合ではなくて均衡が大事」と言ったのはジョン・ルイス・ギャディス。翻って、日本は。ちょうど、ガイドの人が8月に日本に行くと言うので、お勧めの場所を聞いてきた。「伊勢神宮あたりが良いのでは?」と言う話から、日本では初詣は神道でお墓は仏教の場合が多いと言う話をして、ガイドのイスラエル人は非常に興味を持ったようだ。これって、多様性を受け入れる文化の一形態だと思うのだが、どうだろう??ローマ人も、ローマの神々、ギリシャの神々、ガリアの神々を統合して祀っていた、これは日本と似ていると言ったのは塩野七生。

(イスラエル訪問時は外務省の危険情報を確認した上で、個人の責任でご訪問のこと)

初海外経験 Communication 指南書 – Business Trek 編

さて、そろそろこの指南書も最後かなと思っている。いくらまだ英語が不十分すぎるとしても、海外での Communicationの取り方は慣れた気がするからだ。ここで記載するBusiness Trekの企画はどこかで紹介すべきと思っていたが、同級生の中で自分の存在を認識してもらうという意味でも良いものであったので、Communication指南書の一つとして記載する。(ヘッドの写真は今年のJapan Trekのハイライト、スタジオジブリの星野会長と)

Business Trek、またはCareer TrekはMBAではお馴染みのもので、MBA生がある地域の会社を訪問して、その地域の文化、経済を学びつつ、Post MBA後の就職先候補とのConnectionを作るものである。学校側で企画してくれるものもあるが、Cambridgeでは主に学生が企画している。ただ、公式にBusiness Schoolから認めてもらえるので、会社へのお土産や旗(写真参照)などを渡してくれる。今年の学生はSilicon Valley TrekSingapore Trek、Israeli Trek(これからだけど)、他にも様々なTrekを企画していた。(下の写真は今年のJapan Trekの一コマですが)

このTrekは非常に良くて、会社訪問も当然だが、企画者は基本的にその地域の出身なので、普通の旅行では中々経験できないことをTrekに盛り込んでくれるからだ。私が企画したのは当然、Japan Trek。実は発案者は去年の方達で触発されて実施した。

Japan Trekの企画をした理由は3つ。リーダシップを取って、同級生に認識してもらいたい。参加した同級生とTrek内で深く話して、彼らの知見を得ると共に、Post MBAでも付き合っていきたい。Cambridgeの名前を使って会いたい会社と会ってPost MBA後のNetworkの一つとしたい。

さて、企画自体であるが、日本人同級生の協力のおかげで全体的には問題なく進んだと思う。実施時期は1月の3日〜9日、日本人同級生への声かけはMBA前からやっていたが、実際に企画を本格的に始めたのはMBA開始直後。ただ、一つ、大変というか、難しかったのが、「本当に実施するのか」と「実施時期」を決めることで、MBA開始前後に実施を決断したことだと思う。

1月の3日〜9日は他にもTrekが開催される時期だし、Career Eventもあったりで、スケジュールが読めない。Japan Trekの企画を手伝ってもらう日本人同級生も他のTrekに参加したい気持ちもあり、Japan Trekに参加できるか不明、私自身も行けるなら、他のTrekも行きたい。かと言って、他のTrekも開催されるかはまだ不明瞭。さらには、これが一番問題なのだが、私自身1月のその週は妻子がCambridgeに来たばかりであり、幼児と妻を異国の地に残して1週間も日本に帰れるのか。しかし、結果として色々不明瞭な状況でも上記日程で開催することに決めた。これも3つの理由で、まずは私自身が、たとえ参加できなかったとしても、企画をしたかったこと。次に同級生の中に「是非日本に行きたい!」と言ってくれる人がいて、勇気付けられたこと。最後に、企画をしていうちに色々明瞭化されてのみんなもJapan Trekに同行したい気持ちが上がっていく、と考えたことだ。

実際、他のTrekは開催されなかったり、延期されたりで、Japan Trekを開催できた。Strategyの授業でも言っていたが、「情報が不十分な中で決断しないといけないもの」らしいので、今回の経験は良かったと思う。改めて、「やる」と宣言して、人の意見を聞きつつも強い思いを持って実施しなければならないと感じた。(今まで自分は人の意見を聞いて意向に沿うばかりを重視してきたところもあったかもしれない)

さて、Trekの中身だが、正直なんでもできる(できたはず)と思う、Cambridgeの名前を使って。TV番組にも出れるだろうし、東京の大学で同い年くらいの著名な人とセッションをやってもいいだろうし、会いたい人や行きたい会社に行けると思う。今回はお会いできなかったが、小泉進次郎議員にもアプローチしたし、今回お会いできたスタジオジブリの星野会長は、特にコネもない中直接メールをしてご快諾いただけた。結果として、Plug&Play様、Next Beyond Ventures様、光明寺の松本紹圭様、楽天様、ソフトバンク様、スタジオジブリ様、へ訪問させていただいた。

結果として私の日本滞在は2.5日であった。それでも妻には大分迷惑をかけたと思う、感謝に絶えない。そして、私が行けなかったせいで、日本人同行者の同級生にも大分迷惑をかけたと思う。ありがたい。

Japan Trekの前半半分は主に京都観光で、後半が東京での会社訪問。スタジオジブリは、私が連絡したこともあり、行きたかったので、後半の2日間を私のTrek期間に選んだ。

話が少し逸れるが、久しぶりの日本は何か新鮮だった。日本の広告や人の動きや、電車などの普段の光景が何か違ったものに見える。3ヶ月でこれなので、MBAが終わって帰国したらどう感じるのが楽しみだ。

このTrekで一番面白かったのはMBAの同級生と日本の電車に乗っている時だ。これまで普通に使っていた電車に、色々な国の学生たちと一緒に乗っているというのは、なんとも言えない感慨深さがあった

本当に企画して良かったと思う。色々もっとできたと思うことはあるけど、最初の3つの目的は達成した。同級生内での認知は、この企画をSlackなどで参加を呼びかけているので、参加した同級生だけでなく、他の同級生にも若林を認知してもらえたし、会話時に「Japan Trekの企画どう?」とか聞かれて良い話題にもなる。二つ目のTrek参加者との交流は言うまでもないし、これからも付き合っていけると思う。3つ目はConnectionはできた。ただ、このConnectionはShort Termで使っていくよりはLong Termで使えるものだと思うので、今度どうなるかはこれからのお楽しみである。

初海外経験 Communication 指南書 – Social Event 編

マクロ経済学の授業で、授業中は同級生は積極的に手を挙げて発言する(日本の会社や社外の研修でも社会人はあまり発言しないけど、やっぱりそれは日本人だけ(?)みたい)、ので、先生はわざわざ生徒を当てて質問したりしない。・・・が、なぜか私だけ当てられる。今日まで2回授業があって、2回とも当たるという奇跡!!まぁ、偶々でしょうけど、、そして2回とも答えられないというww いや、まぁいいんです、、ネタになって。ちなみに授業自体は面白い。ちゃんと経済学の教授に習えるのがいいことです。

MBA受験を始めた頃は、「MBAに受かれば、それはもう英語が流暢にできる人間になっているんだろうなぁ〜」って思っていた。ですが、全然そんなことはなかったww むしろ受かってもこんなに出来ないものかと思う。上記の経済学も多分そのせい。この英語のせい(だけではないけど)で、最初の数日は少し衝撃を受けたのは間違いない。

ちょうどオリエンテーション期間が終わって、MBAが始まって2週間。やっぱりPre-sessionalはマイルドで、楽しかったので、MBAの2日目くらいまでは少し寂しかった。しかも、最初に行ったSocial event(飲み会)で大きな衝撃を受けた。これが噂の純ドメ衝撃(って今名前つけたんだけど・・・)ってやつです。いわゆるParty、会話の輪に頑張って入っても、同級生同士が会話していると何言ってるか分からない・・英語が早すぎる。。日本なら自分で会話リードしたりするのに、こっちじゃ無理。。それに比べて海外経験のある日本人同級生はしっかり輪の中で会話している。。なんてこった!!う〜〜ん、さすがに常にPositiveな私も1日目は少しDepressionして帰宅。。。ただ、最初にこれが経験できてよかったなと思い直した。

その後、海外経験(韓国)のある妻話すと、「私も最初は全然わからなかったなぁ〜」という、そして海外経験のある日本人同級生と話しても「私も実はわかってない」「その場にいるというのも大事かも」という。おぉ!!!そいうことか!!!ということで、Social eventに参加するときもとりあえず輪に入り、なんとなく会話。。というのを1週間も続けていると、、なぜか結構「Waka」「Waka」と言って、みんな話しかけてくれる。(実は名前覚えるのがムズ過ぎて、2/3以上覚えてないんですが・・)やっぱり日本と一緒で、Social eventにとりあえず積極的に参加して、喋れなくても、顔と名前だけでも覚えてもらうのが大事ですね!下は酒の力で自撮りした写真。実はこれ撮ったの覚えてない。。でもみんなは私のことを覚えていてくれた。

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そして、みんな何気に日本の事をよく知っている。Supply Chain Managementの経験があるメキシコ人は私よりトヨタのことよく知ってるし、ウクライナ人はなぜか日本のウィスキーが素晴らしいということを知っていて、私よりアメリカ人にそのことを熱く語っていた。ありがたいことです。下の写真は同級生とロンドンに出かけた日、まだ出会って1週間。ここでもそんな喋ってないんだけど、なんか楽しかったし、これ行ったことで仲良くなって、また後日話したりするからよかった。

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MBAで大事な事というのを先輩方に聞いたのだが、「何かしらLeadershipをとって、頑張ること。そうすると、MBA中もMBA後も、「あぁ〜何々で頑張ってた若林ね」となって覚えてくれる」という言葉をいただいた。確かにそうな気がする。同級生のコミュニケーション用にSlackを立ち上げたのも私だし(まぁ最初に受かったので)、Japan Trekの企画もしている。やっぱりこういうコミュニティーサイトで色々発言をするのも大事。Cambridge MBAの先輩方も同じように苦労されているよう。後、授業。残念ながら今は自分はそこまで、できていないんだけど、記載のようにみんな発言がすごい。その程度で、と思う内容だったり、それそこまで議論してもしょうがないでしょwwってことだったりするが、そういう事に熱くなる事が重要なのかもしれない。ちなみに私も細々と発言している。もっとしたい。

・・・というので、まだ2週間だが、非常に忙しい。多分人生で一番忙しい気がする。もう(比較的)歳だし、そもそもLong Sleeperなので睡眠は重要。でも上記Socialに、勉強、自身のCareerも熟考しなければならない。本当に1週間が1週間の感じがしない。もう2ヶ月くらい経ってない??でも、大変な事もあるけど、それがいい事なのかなと思う。

ご褒美というわけではないけど、公式のSocial Eventの場所が素晴らしい!!それが全部歴史のロマンを感じさせる場所で開催されるので、もう歴史好きにはたまらない。MBAでこれが体験できるのはケンブリッジ大学だけ!!(いや実はあとはオックスフォードがあるけど。。)ケンブリッジにこれてよかった!!

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