リスク回避策必須!イギリスの公共交通機関;Cambridge生活Hints&Tips後編

外国に住む、とやはり日本が恋しくなる時もあるし、日本の方が何かと安心だなと思う。しかし、不思議なもので、ヨーロッパ旅行から帰ってくると、「Cambridgeに帰ってきたな」と安心するようになっていた。まるで、日本にいて(阿佐ヶ谷に住んでたのだが)中央線で中野辺りに着くと「あぁ、帰ってきたな」と感じるのと同じ思いだった。

自分にとって、そんな思いになったCambridge、前回は生活の基本について記載したが、今回は悪評高い公共交通機関。ちなみにもう一つ悪評が高いのはイギリスの医療制度NHS(Naitonal Health Service)だ。イギリスの選挙の時にも毎回何かしら話題に上がる。いきなり脱線するが、このNHS、私としてはそれほど悪くはなかった。最も大きい悪評は、「予約しても待ち時間が長い!」だ。実際ロンドン在住の同級生(中国人)が子供を産んだ後よく病院に行くらしいのだが、待ち時間の長さに辟易していた。しかし、そこは田舎のCambridge、基本予約しないと受け付けてくれないが、待たされたことはない。その代わり、時間通りに行かないと別の日に回される。VISA取得時に比較的高額な保険料を払うのだが、医療は全部基本タダだし、薬も安かった。

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イギリス人が考える重要な政治的課題、いつもNHSは上位。上記は2015年。

さて、公共交通機関の話に戻ると、Cambrige内の公共交通機関はバスが基本。が、日曜日はお休み・・・なんで?やはりそこらへんはキリスト教の流れなのか。おかげで日曜日に家族にどこか行くためには歩きかタクシー。Uberだと中心まで8£くらい。バス自体もCambridge中心まで一人2.5£で少し高め。当然のように時間通りには来ないため、平日の通学は自転車か歩きにした。最終的には、自転車の小回りが利かない感じが嫌で徒歩通学にした。毎日40分の往復だが、運動がてら悪くない。タクシーはUberかPantherというLocalタクシー。どちらもアプリで呼べるので、どっちでも良いと思うが、他国でも使えるのでUberを使っていた(実はそれぞれの国がUberよりも安いRide-hailingアプリがあるパリならKapten、イスラエルならGett等)。

「cambridge bus map」の画像検索結果
Bus Map、実は他のバスもあるので、City Centreまで行く最適解を理解するまで時間かかった。。。

とはいえ自転車は必要。家は東側だが、技術系の研究所の多いWest Cambridgeに行くには自転車がいるし、一人でロンドンとかに行く場合も自転車で駅に行く。ちなみにWest CambridgeにはChurchill Collegeもあり、やはり理系のノーベル賞受賞者が多く所属している。Cambridgeは犯罪も少なく、東京より安全だと言っていいと思う(ロンドンはテロもあるし、それでなくても危険だけど)。唯一あるのが自転車盗難。ただ、それも定期的にCambridge外から窃盗団みたいなのが夜中にやってきて根こそぎ盗んでいくもので、Cambridge内に盗難者が多いということではない。そして、私は8月に新品で110£ほどで購入した自転車を8月に盗まれた。Judgeの敷地内にチェーンで止めていたのだが、その敷地は誰でも入れるしチェーンは壊されやすいと言われていたのに変えなかった。自転車はCollege内等のClosedな敷地内にとめ、鍵もU字型のしっかしりたものをお勧めする。学生は中古を購入するのだが、私は8月に来たので、最初は中古購入の機会がなかった。ただ、盗難後はJudgeのAlumniによる中古購入会にて70£で購入。ボロボロで、6か月後に壊れて、また新品を購入した。Cambridgeの自転車生活は無駄にコストをかけてしまった気がする。

自転車といえば、Cambridgeでは有名なようで、テイラー・スウィフトも御用達のCambridge Satchelは自転車がロゴマークだ。当然私は知らなかったのだが、妻が知っていて、バックを購入していた。私も就職後用にノートカバーを購入した。リーズナブルで、なんと学割も効くので是非お土産や自分用に購入したらいかがだろうか?

購入したCambridge Satchelのノートカバー、自転車のロゴマーク、中々良いと思う

日本への帰国や旅行時には当然空港を活用するが、イギリスの主要空港はいくつかあり、私が使用した空港をあげると、ヒースロー空港、スタンステッド空港、そしてルートン空港だ。日本人になじみがあるのはヒースロー空港だろう。日本への直行便は(調べてないが)基本的にこの空港発着。しかし、国際空港あるあるだが、特にCambridgeからはなんとも行きにくい場所にある。電車を使うと、ヒースローからパディントン駅まで15分、そこからKingsCross駅(ハリーポッターの9と3/4ホームがある駅)まで20分ほど、KingsCrossからCambridgeまで1時間だ。実際は待ち時間や乗り換えで2時間以上はかかり、Cambridge駅から自宅まではUberとなる。National Expressというバスもあり、こちらは直行なので楽だが時間は3時間近くかかる。どちらをお勧めするかは悩ましい。一方でスタンステッド空港はCambridge駅から直通で30分いかないくらいだ。よって、ヨーロッパ旅行をするときはもっぱらスタンステッド空港発着の便を狙う。ルートンは電車だと行きにくいがヒースローよりは近くバスで1時間くらいなので、スタンステッドがないときはこちらを使った。同級生と旅行に行くときはハイヤーを頼んでShareすればルートンまでも行きやすい。

最後に、帰国時の注意点だ。まず、バスや電車は故障や大幅に遅れたり急にCancelされたりする。それも日本とは比較にならないほど頻繁に。1年住んでいたら10回くらいはそういうことに遭遇すると思っていた方がいい。実際、Japan Trekのために日本へ単独で一時帰国したさいには、乗る予定だったCambridge駅からKingsCross駅までの電車がCancelされて次の電車に乗ったのだが、危うく飛行機に乗り遅れるところだった。それもあってか、航空券には「離陸の3時間前には空港に着くように」と記載がある。日本だと2時間前だと思うが。が、それでも危険。私の本帰国時、9月中旬だが、ヒースロー空港からの直通を家族3人分予約していた。今回は荷物も多く幼児もいるのでCambridgeからのNational Expressを予約した。上記の危険性は知っていたので、4時間前に着くバスを予約し、子供はKids Spaceで遊ばせながらのんびり飛行機を待つ予定だった。それが、3時間の遅延により、ギリギリのチェックインとなってしまった。経緯を書くと、まずCambridgeのBus Stationには時間通りバスが到着した。これで遂に帰国だ、と妻共々少し感慨にふけっていた。が、そんな思いを壊す事が。。中継地点のStansted空港に着く前でバスの故障が告げられ、バスの乗り換えが必要と言われた。そのバスの乗り換えで90分ほどStansted空港で立ち往生。当然私や他の乗客も飛行機の時間を言って「間に合うのか?」と詰め寄るがスタッフは「たぶん大丈夫だろう」というだけ。私達より1時間早い便の人たちもいて、私でさえ「本当に大丈夫か?」と思った。そして、バスが来たのはいいが、今度は渋滞でヒースロー空港にいつ着くかも分からない。結果、我々は離陸の1時間前くらいにチェックインカウンターに着いたのだが、何人かはきっと飛行機に乗れなかったと思う。この帰国は結構恐怖だった。妻と二人ならまだしも(実際ハネムーン時に、飛行機が遅れて乗り換えができず、ドバイで24時間過ごしたことがある)、幼児を連れての飛行機乗り遅れによる空港Stayは恐怖でしかなかった。(ちなみにこの前の週にアドリア海クルーズに行ったのだが、そこでうつったのか、私は下痢と嘔吐で帰国準備できず。そして、さらにそれがうつって、妻が飛行機で下痢嘔吐。娘はフライト中ずっと大泣き。さらに帰国した夜、今度は娘が下痢と嘔吐。。大変だったが、本当に帰国できてよかった。)

以上、やはりMBAというだけはなく、1年海外に住むと色々と学べる。違う生活という物が世の中にあるということが肌感覚で分かる。そして、海外滞在/旅行スキルは格段に上がったと思う。だとしても、調子にのらず(実際油断したら上記のアドリア海クルーズで、サントリーニ島で財布を盗まれた。。。)海外渡航をすべきだと思う。

食、家、イベント;Cambridge生活 Hints&Tips前編

最近Economist誌に出ていた世界の生活費が高いランキングを見ると、1位はパリ(ですよね、でもスイスの方が安い)で、なんと大阪が5位!!一方でロンドンは22位だ。確かに、イギリスの生活費は、住むという観点では安いと思う。 Cambridge生活を始めたばかりの時に、Cambridge生活の基本なるものを投稿したが、その後帰国して、「あまりにも基本過ぎるな・・・」と思い(海外生活初心者なので仕方ないが)、1年生活した結果のHints&Tipsを記載したい。

Economist、The world’s most expensive cities より

まずは「食」から。イギリスは食費が高い!!と言われるが、それは観光、つまり外食の話だと気づいた。スーパーの材料は安い。肉、野菜、アルコール。どれも安い。これはイギリス(というかアメリカやヨーロッパ)を電車で旅すると分かるが、基本平野(逆に西欧人が日本の新幹線に乗るとどこまでも町でびっくりするようだ)。よって、日本と異なり農地が広く取れるからだろう。高い(もしくは売っていない)のは、やはり魚介類。サーモンは売っているが安くない。唯一安くて味が良いのが「鯖」、さすがに毎日食べると飽きるので週一にしていた。お肉はなぜか牛肉があまり味がよくなく、豚肉がおいしかった。家に一番近いスーパー(というかコンビニの大きさだが)はCo-opで、一通り揃っている。ただ、肉は他の大手スーパーのSainsbery’sの方がおいしい。なので、大学の帰りにわざわざSainsbery’sに寄って豚肉を購入していた。日本の概念のコンビニはなく、スーパー各社が小さめの店舗を展開しているイメージで、品ぞろえは特有ではない。日本のコンビニがすごい!と言われる所以だ。24時間営業がどうかという議論がるように、Cambridgeのスーパーやコンビニライクな店は11時には閉まる。

Sainsbury’sの場所、Cambridgeの中心と言ってよい場所にある。自宅からは遠いけど。

料理については、どの家もガスがなくIHヒーターのため火力が弱い。その代わり(?)、どの家にもオーブンがある。なるほど、英国人は基本オーブンを使うのだな。ということで、オーブン料理を日本のデリッシュキッチンとかで調べるのだが、あまりレパートリーがなく、妻が苦労していた。オーブン料理は材料を切って、入れるだけなので楽。さすがイギリス。。。

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見た目はいいが、実は切って置くだけだったりす。逆に時短レシピと言える。

家については、やはり日本と違い色々と大変。まず探すのが大変だった。Cambridge学生は基本的に所属College内に住むことになるが、家族連れの家をCollege敷地内に持っているCollegeは少ない。唯一Churchill Collegeは敷地が広大で家族用住居を敷地内に多数有していることで有名。ただし、Cambridge中心部からは遠目(と言っても歩いて20分くらいだが・・・)。そのため、Collegeが借り上げている住居を借りるか、自身で探すことになる。私が所属したDowning Collegeも敷地内に家族用住居はなく借り上げもなかったため、自身で探した。自身で探す場合はCambridge大学全体の住居借り上げサービスを使うか、民間の業者を使うかになる。一般的な話だが大学のサービスは手続きが楽だが、選択肢が少ない。民間は選択肢が多いが手続きがめんどくさ(そう)く、手数料等色々かかる(と思う)。民間もrightmoveというサイトから探したり、直接不動産屋に赴いたりしたが、よい家が見つからず、結局大学のサービスを使った。金額イメージはCambridge中心から歩いて15分くらいで1500£/月くらいで、私の家は歩いて40分くらいで1000£/月だった。月13~15万円くらいか。

Lent Termの最後の授業後の飲み会も広いChurchill CollegeのCoat(庭?)で実施された

ただ、私の場合12月に妻子が渡英するということで、それに合わせて家をさがしたのだが、当然学生の入れ替えが激しいのは8月~9月。あまりよい物件が見つからず、遠いところになってしまった。私はよいが、妻子には不便。というのも、後述するが基本交通機関のバスが使いにくいからだ。一方で間取りは十分、2LDK。0歳児との3人暮らしだ。ちなみに家具は基本的についている。エレベーターなしの3階で、ベビーカーやスーツケースの上げ下ろしに苦難するのが難点。また、英国特有かどうか不明だが、基本マンションの洗濯機は共用で家の外にある。しかも、おそらく100世帯はいると思われるのに、洗濯機と乾燥機が各3台。少なすぎる。特に土日はいつも混んでいて妻が困っていた。そして、ここはコインが必要!!他の支払いはほとんど銀行のDebitカードなのに、洗濯機のために現金を使っていた。ちなみに、普段の支払い用にMonzoやRevolut等のFintech銀行を契約していた同級生(日本人も含めて)もいたので、それらを使うのもいいかもしれない。電気水道ガスであるが、上述のようにガスは使わない、ヒーターも電気。水は家賃に含まれていた。WiFiはマンションで飛んでいるのもあるが、高いため、別契約をした。水回りがいまいち汚く、特に備え付けのバスタブは入る気にならず、シャワー。0歳児用の風呂桶はAmazonで購入。まぁ1年も住まないので我慢ということにした。とはいえ全体的には悪くない。人生初の田舎くらしと思えばそれもまたよい経験。

右上の赤ポチが自宅、南にCambridgeの中心街がある。右下が駅。

子連れの平日や土日は教会や図書館のプログラムに行っていた。一方でMBA生としての私はイベントをFacebookで探して行くことが多かった。日本ではあまり馴染みがない(or 私がおっさんだから知らないだけ)が、自身の居住区をFacebookに登録しておく(もしくはネットワーク的にみているのか)と、周りで開催されるイベントがしょっちゅう通知される。そして、それぞれ中々面白い。Night Museumや公園でのBeer Garden、College主催の晩さん会などだ。日本だとあまり通知がこないので、やはりイギリスの方がFacebookを使ってイベント告知をするのが一般的なのだろう。Museumの話をしたが、イギリスのMuseumは基本タダ。ロンドンの大英博物館もナショナル・ギャラリーもタダだ。実はCambridgeにもMuseumがいくつかあり、特にFitzwilliam Museumは見ごたえがあった。Judgeの近くにあるので、勉強に疲れたらフラッと入ってリフレッシュするのにも使えた。月曜日休館には注意。

「Fitzwilliam Museum」の画像検索結果
Fitzwilliam Museumの外観
Fitzwilliam Museumから見たJudge Business School。右奥のカラフルな建物。つくづくいいところに学校があるなと思う。

お勧めしたいのはなんと言ってもPunting。Cam川を小さめの船で決まったルートを往復する。College群が見れて非常に良い。ビールを飲んだり、ワインと軽食を持ち込んでも良い。同級生も暇なときは「Punting行こう!」となってよく乗っていた。

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自分で漕げる。結構自分で漕いでいる人は多い。何人か川に落ちてたけど(笑

また土日は地元のPubが人気だった。Milton ArmsというPubで、Hungry Horseというイギリスのチェーン店。 このMilton Arms、料理も大したことないし完全にチェーン店なのだが、なぜか愛着が沸きよく家族でもお邪魔した。基本ビールのカールスバーグ、1パイント(約560ml)が1.75£で破格のお値段。もちろん、Cambridgeの中心ではこの値段はなく、私の家が郊外だからなのだろう。オジサン達は昼から飲んでいるし、普通に食事もできるので、家族連れも多い。

上の赤丸が自宅、下の赤丸がMilton Arms。ちなみにもっと下にCo-op(Co-operative)がある

今回は基本生活について紹介した。1年だったが、結構満喫したなと思う。次回は交通機関について記載したい。

科学の素晴らしさを教えていただいた、スティーブン・ホーキング博士に感謝を込めて

日本の雑誌だがNewtonという科学雑誌がある(名前からして英語圏の雑誌だとずっと思っていた。。。)。父親の会社が定期購読していたのか、小学生の頃父がよく持って帰って来てくれた。最新科学研究や技術の事を分かりやすいヴィジュアルと文章で説明しているもので、子供でも分かりやすく、また、興奮する読み物だった。男子なので宇宙は好きで、その時よく名前が出ていたのが、スティーブン・ホーキングだ。おかげで、相対性理論の概略は小学生の頃に知っていたと思う。読んではいないが、その時代に出版されていた本がまさに「ホーキング、宇宙を語る」で、彼が目指していた事が「子供にも分かりやすく(難しい数式等を使わずに)宇宙の事を説明する」だったので、僭越ながら、その目的は達成されていると言ってよいだろうと思う。

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科学雑誌Newtonの表紙の一例、このような表紙を見られた方も多いのでは

私が理系に進んだ理由は、彼の影響もあり「科学とはなんて不思議で面白く魔法のようなのだろう」と思ったからであり、Cambridge大学に興味を持ったのも、彼が在籍していたからでもある。

ご存じない方もいると思うが、スティーブン・ホーキング博士は難病を抱えながら76年を生き抜き、その間に宇宙物理学で類まれなる業績を示し、子供たちに夢を与えた方だ。初めて博士を見られた方は、失礼ながら、機械に囲まれ車椅子で現れる出で立ちに驚かれると思うが、そのような難病を抱えながらも素晴らしい業績を残された方だ。その生涯を知りたい方は「博士と彼女のセオリー」(英語版タイトルは「The Theory of Everything」、なんとお似合いのタイトルか!)をご覧になるとよいと思う。主演はハリーポッターシリーズのファンタスティックビーストでお馴染みの、エディ・レッドメイン(最初ベネディクト・カンバーバッチと記載していた、恥ずかしい。。)だ。

「スティーブン ホーキング」の画像検索結果
ホーキング博士とエディ・レッドメイン

そのホーキング博士が亡くなったのが2018年3月14日。私がCambridge大学に入学する6か月前だ。娘が生まれた年でもある。ちなみに我々の結婚記念日も3月14日、円周率にちなんで。この日はアインシュタインの誕生日でもある。だから何だ?という話だが、ホーキング博士自身も「ビッグ・クエスチョン―〈人類の難問〉に答えよう」で「私はガリレオが死んだ日のきっかり300年後に生まれた。」と記載しているので、そういうことに思いをはせても良いだろう。

彼はCambridge大学のGonville and Caius College(ノーベル賞受賞者多数輩出のCollege)で、葬儀では「ケンブリッジの心臓部であり、世界で最も認知度の高い通りのひとつであるキングズパレードに沿って、ぎっしりと並ぶ群衆が目に入った。これほど大勢の人たちが、これほどしんとしているのを私は見たことがない。」と「ビッククエスチョン」にホーキング博士の娘さんの記載があった。MBA生でも一人このCollege所属の女性がいて、日本人だったので、Formal Fallに連れて行ってもらった。結構レアCollege(MBA生が少ないorいない)なので、雰囲気を堪能出来てよかった。

ホーキング博士所属の Gonville and Caius College の入口への献花
ご葬儀の様子

この「ビッククエスチョン」という彼の最後の本を読み、「やはり、素晴らしい人だったのだな」と感じた。是非ご一読いただきたい。

相変わらず専門家でなくても分かるように注意を払って記載されており(と言っても私が物理等を学んでいたから分かりやすい部分はあると思うが)、テーマ(クエスチョン)も面白い。一例として最初のクエスチョンをあげる。それは「神は存在するのか?」だ。私の拙い文章による誤解を恐れずに言うと、ホーキング博士の答えは「創造主は存在しない」だ。なぜなら、創造主が存在するのであれば、ビックバンを起こしたのは創造主であるが、ビックバン以前には時間が存在しないため、創造主という概念も存在しようがないから、ということだ(微妙なニュアンスや解釈の違いがあると思うので気になる方はご一読を)。何もないことから何かが起きるのだろうか?基本的に世の中の結果の全てには原因があるというのが論理的だろうと思う。が、実は今この時も、何もないところからエネルギー(物質と言ってもいい)が生まれており、それは突然だ。ただ、その世界は量子力学の非常に小さい世界の話である。ただしビックバンもそのスケールの話なので、矛盾はない。

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ビックバンの前とこの時空間の外には時間さえもない

ここで、相対性理論や量子力学を学んでいてよかったなと思うことが二つある。一つは「この世には、やはり絶対はない」ということが理解できることと、「世界が広がる」ということだ。二つは被る部分もあるが、1点目は、前述のように、原因があり結果があるのが当たり前でみな無意識にその文脈で仕事や生活をしている、特にロジカルなビジネスマンであれば尚更だ。しかし、それでさえ、この世の中では絶対ではない。その事が心底理解できることだ。2点目は、我々はどうしても自分が普段近くできる範囲で物事を考えてしまうが、この世には、その範囲では理解できない世界が存在することが改めて分かることだ。例えば、時間は連続して流れている(アナログ的)ように我々は感じるが、最近の研究では時間(と空間)の最小単位はプランク定数と呼ばれる極小の長さのようだ(デジタル的)。宇宙や量子の世界は、今人間の目の前で起こっている事とは異なる事が日々発生している。そういう世の中が現実にあるという事実を知るだけで、自身の世界を広げてくれると思う。

繰り返しになるが、そういう世界があることを教えてくれたのはスティーブン・ホーキングで、私の世界を広げてくれたのも彼だ。直接お会いすることは叶わなかったが、直接お会いしたところで、何も喋れなかったであろう( エディ・レッドメインも「憧れのスティーブン当人についに対面を果たしたとき、僕は打ちのめされた」、つまらない星座が一緒だという話をしてしまった、と言っている)。願わくば、今後の人生でスティーブン・ホーキング博士の業績に何かしらの形で関わる事が出来ればと思っている。